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【山のライチョウ保護の絵葉書】

 

 ライチョウがいよいよ絶滅危惧種の中でも位の高い絶滅危惧Ⅰbになりました。いよいよ危ないと人工飼育がはじめられようとしています。トキの絶滅前のころを思い出しましょう。 

 もっと早く何をしていたら、日本のトキを絶滅に追い込まなかったか。を考えてみましょう。トキの場合は人間の農薬です。みんなが、佐渡の無農薬のコメを高く買っていたら。農家は農薬を使わず、ドジョウ等の餌動物の汚染が無く。日本のトキは今も空高く、飛び交っていたと思います。

 

 ライチョウを追い詰めるものはいろいろあります。温暖化で餌の高山植物の芽が早く出てしまったら。異常気象で抱卵中の親や、育雛中の親を豪雨が襲ったら。人間のうんちから病気が伝染したら、鶏の病気が移ったら。天敵が増えたら。といろいろ研究されています。

 その中で一番影響の有りそうなのは。カラスと、キツネとこれに最近猿が加わりました。山に人間が持ち込む食料のゴミ、それを目当てに山に上がるカラスとキツネと猿。がライチョウの天敵ですが、これを山に呼ぶのが人間のゴミです。なんと天敵はゴミだった

 

 この対策は、一般の人に出来ることなのです。研究者の成果を待たずに、解っていることはやりましょう。

 多くの登山者に知ってもらうことの出来る、絵はがきを作りました。シートが10円で出来ます。見本をお見せしますから。これを配りたい方は、印刷の申し込みをお願いします。

 

 1000枚1万円です。印刷物の、提供者としてのお名前を下さい、お入れします。入金を下さると。10日以内に現物をお届けします。A4に絵葉書4枚が入っています。4つ折りして山に持っていけるように少し紙は薄くしてあります。切り取って、切手を貼っていただければ絵葉書です。

ドンドン登山者に配っていただきたいと思います。

 近くにライチョウ保護募金箱を置いておかれることをお勧めします、お金が集まったら、またドンドン作って配りましょう。

 

 

 

 

 

 

   氷河期の生き残り、高山に棲む可愛い日本ライチョウは、人の生存条件を先取りしています。ライチョウ保護を考えると、人の生き方に考えが及ぶのです。

  ライチョウが住んだ日本の氷河はもうありません。その姿の痕跡は写真のページにご紹介します。一方ヒマラヤの氷河は今生きています。地球温暖化の影響で融けて後退を続け、そこに氷河湖が出来て氷河湖決壊洪水の危険のある湖が増えています。その氷河湖の心配もしています。「氷河池」で検索下さい。 氷河とライチョウは同じ地球環境の問題の中にあります。

 

   

   【私のライチョウ保護活動】                                                                           大森弘一郎

 

  私はライチョウの研究者ではありません、無理して言えば保護推進者でしょうか。それともライチョウ愛好者でしょうか。 遥か昔、山岳部で歩いていたころ、1時間歩いて10分休むと言う型にはまった歩き方は、自然との付き合い方ではないように思えていました。そこで景色が良ければ休む、ガラガラの所は2時間でも歩くと言う歩き方をして、これを喜ぶ後輩が居たり、嫌がられたりもしていました。

  私の好みを知っていたメンバーは、疲れてくるとライチョウを探して、「あ、ライチョウがいましたよ」「よし休もう」と言うことが良くあったのです。北鎌のA稜で岩に跨っていた時に見た、向かいの尾根から真剣にこちらへ向かって飛んで来るライチョウの迫力は、今も脳裏にあります。

   こうして私はライチョウが好きになりました。しかし考えてみると、知識不足であったのでしょう、ライチョウの写真を撮ろうと追いまわしていた、とんでもない悪い人間であったのです。  

 

 

  自然保護に関心を持ち、次第に自然のことが判って来るに従い、ライチョウの価値が判って来ました。氷河期の遺留種として高山に追い上げられて、高山で2万年生き延びてきたライチョウ、その高山で今人間に追い詰められていることを知りました。

   ライチョウを守ろうと言うことは、身勝手な人間に自制を求めることでもあります。彼らの生活圏を脅かすな、遠くから見守りながら、ゴミ放置などの悪条件を作らないように気を付けようと言う姿勢です。

  この人間に求められる「環境に配慮した自制」は、人間の社会でも必要なことであったのです。地球環境問題は人が身勝手に生活をエンジョイした結果のツケだと思いますが。ライチョウのためにと自制することを学んだ人間は、それを自分の身近な生活圏においても発揮して、人間に住みよい未来を作ってくれるでしょう。

  ライチョウの生活を脅かすものは、高山帯の生活環境を温暖化と人間の圧力で壊されることです。2万年の間には、縄文時代のような温暖な時期もあったようです。それを乗り越えられたのは、多分その時は、人間が未だ山登りを知らず、彼らに人間の作る圧力が及ばなかったからでしょう。 今度は同じ条件ではありません。今度の温暖化は人間が自然に逆らって急速に作っているもののようです。周囲の条件が大きく変わっています。ライチョウを絶滅危惧種だと言っている人間が、自分も絶滅危惧種かと、自分の足元を見なければならないようです。

  ライチョウと人間は同じ運命の上に乗っていると思われます。それならライチョウを見ていることは、自分たちを見ていることであり、ライチョウのためにと思うと同じ姿勢を、人間圏にも取ればより。

  つまりライチョウを見ることは、人間の未来を見ることではないか。そのように人間の鏡としてライチョウは居てくれるのではないか。そんなことを考えます。

  さて研究者でもない私が、ライチョウのために何が出来るか。 ライチョウ保護研究会が出来たのは、広く一般の人々にもライチョウのことを知って貰い、またライチョウの現状より学んでもらいたい。研究者が研究をするだけでなく、そこから得られるものを広く人に知って貰い、ライチョウの保護に活かすとともに、ライチョウから学んで貰いたい。そんな願いからでした。

  その作業は未だ始まったばかりですが、私のやっている小さいことを少し

 

ご報告します。 

   それは夏休みに上高地に来る子供さんや親御さんに、ライチョウのお話や自然保護の話をしながらライチョウの姿をした張り子の貯金箱を紙を貼り合わせて作って貰うことです。 初めは粘土で遊んでいたのですが、そのうち思いついて粘土で作ったライチョウを型にして、ライチョウの張り子を紙で作ってみました。 それを原型にしてその上に紙を貼り重ねて、その張り子に切れ目を入れて、割ります。

 

    そこで張り子から型が出て来た時、子供たちが「わあ生まれた」と歓声を上げたのがヒントになりました。(写真)


   試行錯誤はありましたが、上高地のビジターセンターのテラスで、ライチョウの本を並べたそばで、穂高を見ながら、あそこにこのライチョウは住んでいるんだよ、と話しながら、ライチョウの型(今は沢山あります)を使い、子供たちに張り子のライチョウを作って貰うのです。

   時には親の方が熱心になることもありますが。何とか形になったライチョウを、家に帰ってからさらに紙を貼り重ね、強くして、羽根を描いて、お金を入れる穴をあけて、完成したものは、その子供さんの宝物になるようです。 出来たライチョウの写真を送ってもらったり、作品展で一等になったとか、机の上において毎日眺めているとかのお便りを頂きます。

  自然保護の話は話の時で終わります。インタープリターも現場の思い出は残るでしょうが記憶の中です。この自分で作った「ライチョウ」は、いつも身近に居て、自然に対するライチョウの声をいつも繰り返し聞かせてくれているようです。 

  自分で作ったライチョウを毎日眺め,可愛がりながら、知らず知らずの内にライチョウや自然保護問題のことが心に沁み込んでくれれば良いな。 この次の夏は、もう少し準備して、上高地や奥志賀でより多くの子供さんたちと遊んでみたいなと思っています。 ライチョウは、自分の生存を賭けた環境の中の水先案内人であるのです。それから何を学ぶかは人間の側にあることですが。