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【災害と復興】 大森弘一郎

 

【原発の進む方向】 20120627


  大飯原発の再稼働が行われそうす。破砕帯、活断層が近くに有り、排気筒の放射能除去装置も出来ていない、非常時の司令塔になる免震重要棟も未だ出来ていないのにです。今夏の猛暑に対して節電で乗り切るか、原発を動かすか。関東では節電対策が多く進み、省エネ意識も高くなっていますが、関西は安易な道を選ぶのでしょうか。 

  本当の中身は公開しない関西電力の停電の脅かしに、住民や経済界が負けて首相に拙速の結論を促したように読めます。しかしここで首相一人が政治生命を賭けたところで、多くの国民の本当の命が危険にさらされる可能性(小さいにせよ)がある。それを国民のためにと言うのもおかしなものだと思いますが。

  

  新聞報道が殆んどされませんが、首相官邸周辺での脱原発デモは相当に激烈だったようです。6月22日には4万人が参加したと聞きます。私は結論を急ぎ過ぎている、原因究明がされ、被害者対策など打つべきことが十分にされ、将来のエネルギー政策への明るい設計が出来るまで、夏の短期間のために安易に結論を出すべきではないと思いますがいかがですか。もちろん計画停電もCO2増も困りますが、ここは皆で我慢して協力して、国民の責任でしっかりした方向を出したらどうでしょうか。
  原因究明を待つとすると、半減期で減るのを待たねば近寄って現物を調べることも出来ないので、福島原発の原因究明には凄く時間がかかることになります。しかしこれは見直して皆で出なおすための良い機会だろうと思うのです。

  その間どうする、現に未来社会に近い工夫が次々にされ始めています。省エネルギーと省資源、再生可能エネルギーの推進。この延長で皆が新しい「人間の持続可能な文明」の在りようを体験的に模索するのは、未来のために良いことです。これは世界に対するモデルです。風力、水力、太陽光、地熱、海流など、使っていないエネルギーが未だ未だ一杯ある。

  

  私は原子力の技術を手に入れた世界の人達が、それを簡単に手放すことが出来るとは思いません。しかし使い方には問題があります。影響の大きい技術である故に、それを使いこなせる人間に相応しく、早く進化する必要があります、それが出来るまでは、簡単には持ってはいけないのではないかと思うのです。技術は失敗を通して進歩するものです、ライト兄弟から今日の飛行機までを考えると良いです。しかし原発は失敗が許されない、この条件の中で進歩するのは人間には(動物には)凄く難しいのです。
  技術を使いこなす進歩だけではありません、それを持つ人間社会の構造の進化も含めて考えます。人間はもっと賢くならねば原子力を使いこなすことは出来ないのではないか。現に原子力村という一般人が理解しにくい集団が出来て、それが人々の生活を支配していると言う、おかしなことが起きています。こういうことが起きないぐらいの「利他的な賢者」に進化しなければということです。


  戦争の道具以外に用途の無いプルトニュームを作るために生まれた原発から出来る電気(見方を変えると副産物)を、安穏に使って現代を生きていると言うのもおかしなことです。

  すでに原発の安全神話は崩れました。安く電気を生み出せると言う論理の中に、いずれ起きる廃炉の費用、使用済み核燃料の処理費用、事故の対策と補償費用が含まれていないことも衆知になりました。
  さらに被災地の放射能が除染して消えるものではなく、被災したら100年以上住めなくなる。そして政府も東電もその不幸を肩代りしてはくれない。食品や物品に混ざって放射能は拡散し体内に入ってくる、たとえそれが自然放射能に比べて小さいとしても、その物は移動はするが消えない。そういうことが衆知になったことは良いことだと思います。

  大飯にしても、或る期間、皆が承知の上で危険を冒すのなら良いでしょう。何が起きても自ら蒔くのですから、結果を甘んじて受ける覚悟があるなら良いのです。周りは迷惑するわけですが。


  世界の地震活動図をここに載せます。過去に地震の起きたところに黒い点を打ったものです。これは殆んど地球のプレート境界と一致します。その地震の印で真っ黒になる日本には、活断層が見つかるとか見つからないの話ではなく、原発建設適地なんかどこにも無いと考えるべきでした。

  日本はエネルギーをウラン原発に頼ろうという政策を選んで進んできました。これが袋小路であることは今回の福島の辛い経験でもう判ったのですが。それでもまだ、今の困難を正面から乗り切ろうとせず。甘い蜜に引き寄せられています。

  時間はかかるでしょうし、経済的にも苦労が多いでしょうがこれからエネルギー革命が起きるでしょう。その間、危ない綱渡りはしない方が良いのです。国民は知っていながら、誰かに責任をなすりつけて見えないふりをして、安住しているという、イソップの漫画のような図式が今です。

  副産物と書きました。原発は電気も作りますが、核爆弾の原料のプルトニュームと核廃棄物も作っていて、今のところプルトニュームは原爆の他に用途が無いのです。戦争(人殺し)の手段として役立つプルトニュームを電気と共に作っている。それがウラン原発です。そのことは原発を考える時にセットにしなければと思います。

  戦争道具の副産物が平和の発展のための電気というのも皮肉な矛盾です。
  その原爆の材料のプルとニュームの戦争で使う以外の他の処理法は現在ありません、青森の六ヶ所村での再処理も危険極まりないのです。中曽根康弘氏がなぜウラン原発を選んだのか、冷戦時代のアメリカの影響か(実は今思えば他の選択肢もあった)。そこから袋小路への進入が始まっていました、おそらく当時はこんなに苦しむ道だとは思っていなかったでしょうが。

  

  さて若狭湾で何かがあったら、福井の人々は風上の京都に逃げるでしょう。琵琶湖が放射能で汚染されたら、京都、大阪の人々は使う水をどうするのでしょうか。大飯原発には避難路が1本しかないそうです、免震重要棟も未だ出来ていないから、ここで働く人たちは何かがあったら脱出出来ないで見殺しです。
  ここに務めるにはいつも決死隊の覚悟が要ります。同じ動かすのなら、もっと100倍安全にしてからに出来ないものかと思います。なぜこれで安全が確認されたと言えるのでしょうか。

 

  もう一つ、原発の耐用年数を40年より伸ばすかどうかの議論がありますが、これのおかしさです。大体安全を考えるとき、破壊テストの実績の半分にするものです、福島の40年の実績からすると20年で廃炉にしなければならないはずです。
  だからせめて30年にするべきだと言って来ましたが、いま根拠も無く長くしようとしています。うがって考えると、とりあえず今これを長くしておかないと、計算上の設備償却の電力料への負担が大きくなって、安いと言う神話が崩れてしまうからではないのか。


  大飯原発の3号は1991年12月、4号は1993年2月の稼働開始。三菱重工製です。美浜原発3号は1976年3月に稼働開始しています。大きな船でも20年30年で廃船です。この数字は良く覚えておいて下さい。今日本にある54基の原発の内、30年廃炉のルールであと10年動かせるのは13基、20年動かせるのは4基です。まず新設は出来ないから、新しいエネルギー開発を急ぎます。

 

  安全と開発のためにお金を惜しまないでほしいと思います。だから周囲も電気を安くしろと言わないことです。原発の電気もどうせ安くはないのだから、今を偽って後につけを残さず、初めから高くしたら他のエネルギー開発を促進するでしょう。

 

  今、東大の原子力工学科はシステム創成学科という名前になっています。ほかの大学も物理工学科、エネルギー科学科と名前を変えています。悪く言えば名前を偽って学生を集めている。こういうことで将来を担う有能な人材が育つのでしょうか。何十年と原発を動かすつもりなら、それを支える人が次々に育つことが必要です。原子炉を途上国に輸出するのなら、それについて行く有能な技術者が必要です。ここにある矛盾、既に発展の条件を失っているにではないか。

  やるのならそれにふさわしく、もっと現状をフェアーにして、花形技術になるように体質を変えねば今後が成立しないです。原発村の隠ぺい体質をそのまま残して次に進もうとしている。これでは進化しないだろうし、袋小路です。

  

  福島の11市町村の避難者が帰宅可能にならない所が、空間放射線の量から見て、10年後にも18%、20年後でも8%ある、と政府が発表した記事がありました(20120610朝日)これは100年帰ることが出来ないのと同じことで、それを言葉を変えて傷つけないように小出しにしているのですね。
  放射能汚染焼却灰の処理をどうするかということに対して、これは早くしないと拡散してしまいます。なぜ東電は早く自分の原発近くの汚染土地に引き取り集めることをしないのでしょうか。政府もそれをささないのでしょうか。

 

  再生可能エネルギー源が期待され動き出し始めています、ソーラ、風車、小水力、海上風車、地熱、地中熱、海流、EVを活用してスマートシティー、EVの他に水素燃料電池、蓄熱、蓄電。さらに省エネのためのいろいろの工夫と実施。一種の産業革命ですね。東北にいろんな工場の進出が始まっています、老朽化したインフラの整備に注目が集まっています。これらは希望です。被災地の新しい復興もかなり始まっています。


  折角南北に縦に長い日本です、昔もあったかもしれない、これからも多くありそうな自然災害と気候変動に対して、出来るだけ分散させることでしょう。昔は破壊され易い大きいものが少なく、日本人は自然災害を避けて耐えて、復活して、を繰り返して進歩して来て今があるのだと思います。今回のダメージは大きかったですが、急いでは出来ない様々な問題の中で、いろいろな力が発揮されつつあることを心から救いだと感じます。

 

  どこかの政治家がよくぞ言ってくれました。「原発を再稼働しないことは集団自殺するようなものだ」と。そしてこれを騒ぐ新聞もテレビも見当たりませんでした。国民がこれに騒ぐふうもありません。「安全の対策が不十分な原発を稼働することは、集団で崖っぷちを歩くこと」です。この言葉はそういう使い方をすべきです。そのことをもう一度考えると良いです。
  福島の第1原発は、からくも炉心溶融の大事故を免れましたが、これは運が良かっただけです、被害者には申し訳ないことですけれど、これで済んだのは幸運としか言えません。大飯原発を考えるときチェルノブイリ原発事故の汚染地図が、
http://www.j.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/Henc.html にありますから、これをクリックして是非ご覧ください。日本の地図に重ねて下さい。その被害半径は300km、離れて600kmの所もあります。

  もし若狭湾でこれが起きたらどうなるか。福島の比ではないことが良く解ります。だから、安易に安全確認なんかは出来ません。政治的な見切り発車はあり得ないです。

 

  だんだん先が読めて、あきらめにより落ち着いてきたような気がします。
  食品の放射能汚染はいくら検査してもある程度は来るでしょう。除染は一時のジェスチャーと気休めで、広く撒かれたものは再び集まって来るでしょう。危険な原発は、いつか危険の芽を残したままの再稼働がされる、こういうことは起こりにくいと言いたいです。古い原発は廃炉で、使用済み核燃料を抱えたまま時間を待って壊すにしても、しかし放射化した材料の再使用は出来ないからそのまま置いて置くのでしょう。スクラップ・アンド・ビルドの出来ない原発、新しい建設地は無いから、そのままモニュメントのようにそこに居る、どういうコースを選んでも答えは同じです。

 

  我々は今もっと賢くならねばならないです。

 

 

【放射性汚染物の処理方法】 20120224                   

 

  3月11日が近づいてきました、われわれ日本人の常識や視野を一気に変えてしまったこの日です。従来の常識では言えないことを書きます。


  グーグルマップで福島第1原発の周辺を見ます、のどかな田畑が広がっています、平和そうな邸宅が見えます、その中を道が通っています、上の方に双葉町の市街が見えます、しかし人の気配が見られません。この画面のすべてが立ち入り禁止の5km圏なのです。
  悔しいけれど、数10年以上、ここは人が住めない場所になってしまっているのだ、とは写真からは判らないのですが。
  ここを故郷とし、生活の拠点としていた人には申し訳ないことですが、残酷なアドバイスをさせて下さい。その現実を見据えて、早く町全体で、どこかの適地に移動してそこで新たに発展して下さるのが良いです。この場所の町は考え方を変えた新しい姿を考えねばと思います。国はそれをサポートする義務があります。すると思いますのでそれが得られる内に。


  ここを使えるのは、もう次代、あるいはその後の人でしかない現実を受け入れざるを得ないのです。良い場所に皆で移り住んで、新しい天地を築き幸せなコミュニティーを作って下さい。この場所は例えばメガソーラ、例えば汚染土を地下に保管して土地の嵩上げをした緑地として将来有効な土地になるように手を打つ。そのような作業を新天地から通勤してやることで土地を活かすのです。どこに新天地の適地があるか、具体的な案を持たない無責任放言で申し訳ないのですが。
  井戸川町長さんにそれを進めて頂きたい、町の人たちの組織が分解する前に新しい街を作って下さい。

  全く別の理由によってですが、私も故郷が過疎で活動を止めてしまっていて、故郷を失ったと同じ立場にいます。かなり前から過疎になる理由は解っていましたが誰も対策を取らなかったために、思っていたような状況になっています、対策は早い方が良いです。

  

  メガソーラは圏外で組み立てて、圏内に設置し、ロボットで管理する方法が生まれるに違いありません。汚染土保管は中間処分でなく、永久保管として緑地の下に埋め込みます。その保管費として町ぐるみに役立つ何かを持つ。     その中の汚染土保管のプランを書きます。

 

  私は技術士ですから、仲間が集まるなら、体を張って実現に役立ちたい覚悟での提案です。とりあえずここでは私が専門とする包装システムの技術を役立ててまとめました。実現したいです。

 

  基本的なこととして、セシュームの半減期は30年で、焼いても、流しても濃縮と拡散こそすれ、消えてはくれないと言うことを置きます。

  燃やすと煙になって拡散し、また灰になって濃縮されます。洗って流すと最終的には川を通って海に入って底にたまり、魚の体になって食卓に帰ってきます。セメントの原料としてキルンで焼いてセメントにすると、建物の骨組みに入って、取り返しのつかないことになります。
  つまり、拡散させる行動を取らずに、機会のあるごとに集めて保管する。これが広い場所を除染することになるのです。

 

  作業をまとめますと。
 ①:放射能汚染灰と放射能汚染土の最終保管をする場所を持つのです。
 ②:これは政府も東電も言い出しにくいことだと思いますが、福島原発の5キロ圏内には、100年から300年立ち入り禁止となる場所が有る筈です、そこを使います。例えば双葉町の中です。元住民への相応しい代償と雇用と安全を考えての案を作って見ました。

 

 ③:5km圏内の、出来るだけ東電の近くに永久保管場所を決めます。除染をして出来た放射性汚染土、放射性汚染汚泥、焼却により濃縮された放射性汚染灰を、ここに積み上げて永久保管します。
 ④:土壌はセシュームを吸着して、地下水に移行する量は少ないと思いますが、これは検証の必要があります。下に大谷石を敷き、上に通常の土壌を被せてセシュームの飛散を防ぐのが良いと思います。
 ⑤:永久保管中に放射能は次第に減り、セシュームは100年で10分の1、300年で1000分の1になり時間がたつほど良い状況に移行しますから、それまで汚染が広がらないように管理するだけで済みます。その土地は時間がたつことにより(大変に長い考えにくい時間ではありますが)復活します。

 

 ⑥:次に管理作業を次代にどう引き継ぐのかのシステムを作ることが必要です。これも大変なことですが人間に出来る範囲だと思います。これは東電の責任でやることだと思いますが。

 ⑦:汚染土、汚染汚泥、汚染灰は発生地で、クラフト紙と生分解樹脂フィルムを多層にした重袋に入れます。この袋は、積みこみが終了して、土のカバーがされて、安定するまでの約2年間、飛散防止の役を持っています。それが過ぎれば自然に分解して土になってくれます。
 ⑧:その袋詰め機が必要ですが米や肥料を詰める包装機は既にあります、これを使います。セメント工場にはこの設備があります。次に専用ラインを持つ包装工場を作ります。

 

 ⑨:その包装工場に各地から汚染土、汚染灰を運び込みます。この工場は30km圏外のなるべく近い所が良いですが、離れた発生地でも良いとします。その他詰める場所と工場を確保します。

 ⑩:それを立ち入り禁止区域の保管場所に運び込むのですが、運転席を放射能から鉛で防御した、クレーン付きのトラックを使います。これに圏外で積み替え、この重装備トラックで保管場所に持ち込み並べます。これには、現地で袋をおろして地面に並べるのに遠隔操作のクレーン(掴み部を開発する)を使います。これは放射線を遮蔽した運転席で操作できるようにします。

 

 ⑪:その時に破けない強度が重袋に求められます。

 ⑫:順に落とすか並べるかして積み上げます、並べた次には重袋の上を車が踏んで走ることになります。単独の負荷ではないですが、その時の強度が必要です。
 ⑬:つまり高積みして丘を作るのです。袋は数10年で消えて、300年では素晴らしい自然の丘が生まれています。


 ⑭:この過程で、もし地下水にセシュームが入るとしても、セシュームは濾過されていて少なくとも原発建屋周辺の水汚染よりは小さいはずです。

 ⑮:1km×1km×100mで1億mですから、使用できない土地の面積、即ち集納スペースは十分にあります。
 ⑯:積み上げが終わった所に、通常の土を被せて、草の種と樹木の種を散布します。中は表土を削って持ってきた除染土と灰ですから、基本的には栄養豊富で草木の成長は早いはずです。必要なら苗木を空から落として植林を行います。


 ⑰:ここは次第に動物のサンクチュアリーになると思いますが、これで放射能が拡散しないための注意は必要です。おそらく体に放射能を蓄積した動物は、この管理区域の中で死んでくれて外には出ないと予想しますが。人間がこれを捕獲して食べるのは禁止です。鳥の挙動は心配ですが、それによる拡散は、他の方法よりは小さいと考えます。

 ⑱:草木は放射能を体内に取り込み、枯れて下に落とし、移動せず表面を覆って放射能の拡散を防いでくれます。樹木の体内に取り込まれた放射能も時間と共に消えます。


 ⑲:あとは100年300年を待つだけです。この土地は町が国に貸して賃料を貰い、移転した町のための経費にします。現地を管理するのは国費か東電の経費で双葉町がするのがいいでしょう。

 ⑳:除染などによる汚染物は、長期間各地の焼却場などから終わらずに出てくるでしょうから、この出たものは無主物ではなく東電の廃棄物として、全国からこの場所に集めて保管して行きます。ここに住んでいた人、周辺に土地を持つ人の気持ちをどのように傷つけないように理解してもらって進めるか。この土地には帰れないことがすでに判っていると思いますが、当事者にとっては思いたくないことでしょう。これに十分な対価で買い取ることです。出来れば町ぐるみの移転が望ましいでしょう。100年以上使えない土地であることを納得してもらうのは大変でしょうし、政府も東電も言いたくないと思いますが。それをしなければ日本中が前に進みません。

  ぜひ進めたいと思います。以上

 

 

【心の中に棲む竜】 (33)20111205

 

  


 

  ブータンの若い王様にテレビ画面でお会いしました。福島の小学校で語った素晴らしい言葉。「君たち龍を見たことあるかい」「僕はあるよ」「龍は人の心の中に棲むんだ」「龍は経験を食べて大きくなるんだよ」「君たちもたくさん経験を食べて強くなるんだよ」。被災という経験をした子供たちへの、この素晴らしい励ましの言葉。
  幸福度の向上を目指すブータンの王様に教えてもらいたいと思いました。「地球環境はどうすれば持続可能になるのでしょうか」と。福島では子供たちの心に竜を棲まわすことが出来たでしょう。70億人に地球環境の問題を食べる龍を住まわせてほしいとお願いしたいです。

  「心に棲んでいる」ことが実現する。「平和も戦争も」「幸せに役立つ科学も幸せを壊す科学も」「地球環境も」。
  その素晴らしいテレビ画像を、NHKからしかられるのを覚悟で、転載しました。

 

 

【国際安心への貢献】 (32)20111205


  11月のいつかの日経に政府の病院船の計画が出ていました、以前この欄で書いた国際災害救助船の考えに近いので嬉しく思い、さらに国際災害救助船の考えを書いてみたくなりました。
  実施計画の立場の人の目にこれが留まると良いなと思います。


  3月11日の大災害ばかりでなく、アメリカでも、インドネシアでも、ニュージランドでも、タイでもアリューシャンでも、自然災害が次から次に起きています。これからもどこかで起きるでしょう。それが太平洋と繋がったどこかである時、日本から直ちに駆けつけて、少しでも救助の役に立とうというものです。
  未だ自分たちの災害の傷も癒えていないし、今度はどこに来るかと身構えているときに、こんな悠長な、と言わないで頂きたいと思います。今だからやる意味が大きくなるとお考えください。

  災害は地球の上でどこでも起きますし、それは増えてきているようです。減る材料は無く、増える材料が増えているからです。異常気象も増えていますし、北極の氷も減っていて温暖化の警報が点滅していますし、昔より危険な所に人が集まって多く住むようになっているからです。

  災害の悲惨と、救助の有り難さを体験している我々は、それを少しでも役に立てる権利があると考えたらどうでしょう。武器・弾薬・戦闘機を積んだ空母を作る代わりに、医薬・食糧・救援ヘリを積んだ災害救助船を作り、なるべく港の中には居ないで太平洋をゆっくり航行していて、いざ事が起きた時はそこに駆けつけると言うものです。
  エンジンは40ノットを目標のものを装備します。同時に自動操縦の帆をつけて、悠航の時は風任せでゆっくり移動します。どこにいるかによりますが、日本とニューギニアの間ぐらいに居たとすると、ことが起きたときにそこへ全速で駆けつけるのに、日本の沿岸やフィリピン、ベトナム、インドネシア、ハワイに2~3日で行けます。


  病院船ですから泊まるベッドはいっぱいあります。この船は平時は青少年の教育訓練と、環境調査に使うのです。悠航の途中で世界各地に周り、行った先の港で降ろしてボランテイア活動を行い、各地の役に立ち、青年の視野を広げるのに役立てます。悠航中は医学、語学、国際学などの座学と救援の訓練、広いヘリポートでは競技が出来る。この船が役立つことが無いことが本当は幸せなのであって、この船が悠航していることが人々の安心につながる。そういう船です。
  人を助ける姿勢というものは、自らを助け高める。世界の平安(平和)にも、国際的な存在感にも役立つでしょう。空母の存在とは全く反対の意味があります。
  正義の味方の漫画みたいな考えですが、出来ることであり、波及効果の大きい、今だから日本で出来るものだと思います。

  国際災害救助船。救助に必要なあらゆる装備と人員を持つ。ヘリコプター2機以上を持ち、ボートも一杯積んである、通常は帆走4ノット、緊急時は40ノット、太平洋のあらゆる気象に耐え。世界中のどこへでも行ける。

  災害救助は、人間社会の乱れに対する平穏化策ですから、世界平和への積極的貢献姿勢にもなります。これは日本の存在感です。

 

 

【除染と貯蔵】 (31)20111101
 

  私の家の周りは、0.05マイクロシーベルトぐらいです、空調の良い近くの病院の中に入ると0.03ぐらいになることもあります。そんな環境に居て、福島周辺の除染地区の3マイクロとか5とかいう数字を聞くと、作業をしている人、住んでおられる方たちの大変さが思われます。本当に大変ですね。
  

  放射能が人に影響するのは〇〇シーベルトからと言うような数字がありますが、昔はこんな測定もしなくて良かったのだから、原発の罪、それを許した我々の罪は大きいと思わなければならないです。
  除染で効果があったとしても、周りの森の土を全部剥がし、屋根を剥がし、アスファルトを剥がすわけにはいかないのだから、除染地区はこれからも大変です。簡単には終わらないと離れていても思います。


  さて除染で出たものの保管です。炉心から出たと思われる、無茶苦茶に半減期の長いプルトニュームは重い元素で遠くには行っていないと言いますから、融点28度、沸点680度のセシウムが爆発で飛び散って、雨に入って遠くまで運ばれたと考えましょう。そのセシウム137の半減期は30年です。60年で4分の1、120年で8分の1。30年ではたったの半分。
  そんな殆んど変わらないものを30年間も中間貯蔵するということは、その近くにいる人はその間どうするのでしょうか。住んでいる人にとって、中間貯蔵は結局は永久貯蔵と同じことです。
  その永久貯蔵の土地を2013年3月までに決めて2015年1月から30年かけて最終処分を終わらすと言う政府の工程表は、なんかずれているように思いませんか。
  除染で放射能を持った汚染土はドンドン出てきます。川底にも溜まります、ごみや木の葉を燃やして出来た放射能灰もどんどん出て来ます。
  福島原発から5km圏内の私有地は、事故発生の前の地価で東電が早く買い上げ、ここと国有地の中に永久貯蔵所を作って、放射能汚染廃棄物つまり汚染したガレキと共にどんどん受け入れるべきです。半径5kmの半円の面蝉は大体35平方kmで、そこを10mの嵩上げすると考えると、3億立法メートル。全部の面積を使わなくても十分すぎるでしょう。汚染の高いものを下にして、その上に除染で剥がした汚染度の低い土を被せる。これは放射能の被覆にもなってくれます。

  そこの土地を故郷とする方には大変申し訳ない考えですが、汚染が短期間に消えるのは無理です。
 

  幸い土壌はセシュームを吸着すると言います。積み上げた汚染土から地下水にセシュームは漏れにくいと思われるし、その下流の近くに、壊れた原発と言う、もっと凄い放射能源があるのですから、海に出るかも知れない地下水への影響はこれに比べると小さいはずです。
  放射能をばらまかないで、除染で出たもの、灰も、ガレキも一緒に早く1ケ所に集めて永久貯蔵してほしいです。
 
  300年経ったら放射能は黙っていても千分の1(100年では10分の1)になりますから、ここは有効な土地になりますし、それまで間、ここには人は住まず、メガソーラを設置したり、宇宙発電の受信基地にしましょう。再生エネルギーの世界の最先端基地になれば、フクシマの名前も輝いてくるでしょう。
  ともかく早く。永久貯蔵の場所を作ってそこに放射能をドンドン運び込んで埋める。除染で出る土壌を役立てることだと思います。

  今から300年昔のことを考えてみましょう。宝永山が噴火したころ、江戸城の普請が始まって100年目ぐらいです。これから300年後の人たちは、我々がいま皇居や宝永山を見るように、放射能の減った原発を眺めながら、放射能の殆んど無くなった自然豊かな丘陵にくつろいでいるのです。

  これはもうこういう解決策を考える以外無いです。何しろ放射能は半減期の年数を待たなければ消えないのですから。


 

 

【災害と事故対策】 (30)20111025

 

  トルコで10月24日にM7.2の大地震がありました。日本の中も大変だけれど今日本からも救援隊が飛んで行って、瓦礫の中から一人でも助けられないかと思います。日本とトルコは航空路の最短距離で1万km、行ってくれないかな―。
  タイでは大水が次第に広がってくる、チャオプラヤ川の集水域になる上流の地域や、タイの奥地の大雨の影響がじわじわと下流に下がってくる様は、その動きが見えていて対策が間に合わない様子は、急流の河川を持つ日本とはまた違う不気味さです。
  メコン川を持つラオスやカンボジアでは洪水はないのでしょうか、海から蒸発する水が増えて、雨が増えているだけに、心配です。

 

  この姿は、温暖化でじわじわと海面上昇が進む場合のシュミレーションをしているみたいな気持にさせられます。
  タクシーが高架から落ちて電車にぶつかりました。これが新幹線だとどうなるでしょうか。新幹線をまたぐ、過失か故意かで落ちることができる高架の場所を私は知っています、これはJRは充分に把握しているでしょう。急ぎ対策を講じてほしいのものです。
  少し前にはANAがあわやの宙返りをしました、無事で何よりでしたが。事故や災害はいくらでもやってきます。とりあえずは自衛、次はそれでも生き延びる図太さを、身近で若者や子供に教育してほしい。多分国の対応はその後でしょう。
  次は何が起きるか。世界は経済界も含めて、波乱が続きます。これを乗り越えられれば強くなる。

  これらは、われわれに未来への対策と備えを親切に促している予兆のような気がします、われわれがそれに素直に耳を傾けるかです。
  新潟地震と柏崎原発の教訓を福島が生かしていれば、このようなことはなかった。
フェンスの事故は無くなった方には気の毒でしたが、新幹線対策に生かしてほしい。タイの洪水は、海面上昇のリハーサルかも知れません。
  東日本大震災は、東海、南海津波を知らせてくれています。どのように活かすかです。時間を貰いたいものです。

 

 

【除染のまやかし】 (28)20111001

 

  アスファルトを剥がし、地面を剥がし、屋根を洗って綺麗にしました、○○シーベルト以下です。解除するからはい住めますよ。と言うのはちょっとおかしくないでしょうか。焦ってやっている、住民を犠牲にする窮余の策のように思えてなりませんが、これは将来に禍根を残す間違いではないでしょうか。


  人はその場所にだけ住み生活するものではないし、まして子供は地域の中全体を移動して成長します。居住区以外の生活圏全部を洗えるのでしょうか。森の土を剥がして取り除くことが出来るのでしょうか、木の葉を全部洗うことが出来るのでしょうか。いじりまわして飛び散る粉じんを取り除くことが出来るのでしょうか。現に作業者はあの白い服を着て、厳重なマスクをしています。さらに洗った水はどこに流れて行くのでしょうか、これが濃縮されて放射性汚泥になるならそれはどこに。拡散されるならさらに困ります。
  或る区域の内側、場所によったら、除染して安心して住めるようにすることは出来ないのだから、汚染の高い所は区域を決めていじらず集めることに集中すべきです。危険の残るところは帰りたい住民に親切なふりをして解除せず。そっとして数10年封じ込んでおいて時間を待ちましょう、時間が経てば有用な土地になります。
  東電の人がそこに住んでいたら自分のためにどうするでしょうか。それを基準にしたらいいです。そこで名案を。

 

 

【東電の引っ越し】 (29)20111010

 

  これなら皆納得し、尚将来の発展路線に載せられる名案です。災いを福に転じることもできます。皆が頭を悩ませている放射性廃棄物の処理問題についての、名案を一つ。これは福島の過疎化や生産者の不安や、東電や政府への不信を一挙に解決することも出来る名案です。お金もあまりかかりません。

  それは、

 ①東電が本社を福島か郡山に移すこと(本社が無理なら重要な機能を持つ部署を)、

 ②同時にこの近くに社宅を移して、住む人は住民登録をして福島県人になること、

 ③福島原発の周辺の5km圏内か、10km圏内の汚染の高い土地を買い取って、そこを放射性廃棄物、汚泥やスクラップの保管場所にして各地からも受け入れます、放射能汚染したコンクリートなども含めて、廃炉原発の放射能を持った物質の蓄積保管場所にします。この圏内には国有地もあると思いますし、福島原発の土地は今でも広いと聞きますから、買い取り作業をする前に放射能汚染物の保管は始められるでしょう。間違っても、放射能汚染した廃棄物が、建材や土壌に入ったりして放射能が拡散しないように、一ケ所に集めます。

 ④その福島本社の周辺に新エネルギー開発研究センターを作る、と言うことです。

  この保管場所は借り置きではなく永久保管です。まず福島県内で出来た処理して残る、放射性廃棄物から始めます。その上に県外から汚染の低い放射性土壌を貰ってきて被せます。この出来た丘の上は、風力でも、ソーラでも、京都大学がやっている宇宙太陽光発電から送られるマイクロ波の受信基地のアンテナでも、いろんな発電が出来る好適地になります。県外分の廃棄物引き取りは有料保管にすれば、放射能が無くなるまで収入が保証されていますし、これを研究や管理費用にも使えます。

 

   放射性物質への安全対策は自分の身の近くでやっていれば、皆がその対策を納得するでしょうし、②のためにさらに十分やっていると感じるでしょうから、それで立証され住民の安心が得られます。①で福島の生活を好まない退職者がもしかして出るかも知れない、その時はそこは新しい雇用の場になります。④も福島の雇用の場になり、福島が新エネルギーの発信基地になると言う、福島県の好イメージのステータスが生まれます。

  仮に10kmの土地に100mの土を盛るならその体積は10億mです。厚さ10mでも1億mこれくらい有れば、これから全国から発生する放射性汚泥や、剥がした土の置き場に充分でしょう、ここに標高100mの人工の丘を作る。津波の心配のない、腐葉土による素晴らしい台地が出来ます、ここから染み出る水の対策は必要ですし、時間がかかりますが、子孫に渡すころには、緑豊かな有効な土地になっているはずです。


、  ①の東電が福島に来ることが出来るなら、福島県も福島原発の周囲の土地(約10km圏)を東電に売り渡すことを許し、③が可能になるでしょう。放射性物質の保管場所は、100年~300年もすれば、この長期保管で放射能が無くなりますから、その間、設備を置かない所は、植林して静かに飛散しないようにして待つだけです、その時になったら東電にとっても福島県にとっても有用な土地が生まれます。それを待ちながら、その土地では、メガソーラなど発電の実用実験が出来ますし、遠隔操作の新しい技術が生まれます。これらをして、世に先駆けます。送電線はすでに有るのですから、何でも出来る好条件を備えているわけです。
  水素もマグネシュームも宇宙太陽発電の受信アンテナも置けます。福島を先端のエネルギー技術基地にするのです。
  東電に対する悪評も、これで逆転するでしょう。以上の4つが、私が考えた名案です、実行されることを心から望んでいます。

 

 

【フクシマの未来をつくる】 (27)20110906

 

  3、11の大災害の後、原発や放射能の今後について関係することを書いてきましたが、少しまとめてみます。

 

  除染、除染と、さも洗濯すれば綺麗になるような言い方がされています。綺麗になると思いたい人の心理にうまく受け入れられているようですが。放射能は放射性物質が持っている性質で、洗っても削ってもそこからほかに動くだけで放射能は消えません、ですからむしろ散らばらさない方がいいのです。

 

  福島の方には申し訳なく思いますが、国も、除染によりさも住める土地になると言うような、住民に期待させる発言をしてズルズル引き延ばすことはやめて、早く住民から充分な対価で土地を買い取り、放射能汚染地域として、国有地にするか東電の所有地にして、普通の人の立ち入り禁止区域に指定して安定させるべきです。

  半減期30年ですから、90年で8分の1、210年で120分の1、300年で1000分の1になるのを気長に待ちましょう。

 

  壊れた原発の中を見に、人が入って融けた燃料を取り出したり、原因究明などの研究が出来るには、数10年はかかるのです。まず崩壊熱が無くなって水から出せられるのは10年後でしょうし、これは原理から来る当たり前のことで、チェルノブイリやスリーマイルを参考にすると、これからの動きは残念ながらそういうものなのです。人の一生の時間とは違う物差しの時間で進みます。

 

  そんなことは判り切っているのです、政府も東電も早くそれを言って、住民の生活の転身と、立て直しをして上げねばいけない、昔の生活が出来ると希望を持たせるのは、むしろ残酷ですし、自然にあきらめるのを待っているとしたら卑怯です。

 

  それくらいの期間を考えなければ、この問題は解決しないのです。

  この放射能汚染区域からは物を出さず、集めるのです。廃炉になった巨大な放射性廃棄物はどう考えても他に動かすことが出来ずに残るのですから、その事実を活用するよりほかに方法はないのです。物を洗うと水に溶け、それを処理すると汚泥が残りますが、これは放射性汚泥です。これを燃やすと放射能を持った灰が出来ます。これからの放射能がほぼ消えるのは300年後だと言うことで、フクシマの近くの一ケ所に集めて消えるのを待ちながら、その場所を別の用途で活用しましょう。

 

  周囲の除染などで出てくる汚染土、放射線を浴びて放射化したもの、放射性汚泥、放射能を持った焼却灰などは、この区域内に保管します。風で飛んだり、地下水に入ってそれが海に染み出ない方策は充分に必要ですが。ここがモデル地区です。

  壊れた原子炉を循環する冷却水を処理すると、必ず放射能汚染された汚泥が出る筈ですが、セシュームを吸着した吸着剤も、汚泥も、ここに保管します、間違っても海に流し込まないように。

 

  この地域を故郷に持つ方には、本当に冷たい言い方ですが、放射能は消えるのを待つ以外に、これはしょうがない、これ以外方法が無いのです。ここで起きることは、他の原発地域でも起こり得ることです。原発をお持ちの地域の方、建設誘致の地域の方は、フクシマとその周辺で、国と電力会社がどのように補償するかを、よく見ておくことです。

 

  表土を剥がして入れ替えて除染するなど、しないより良いでしょうが、子供はその場所だけに居るのではありません。空気も含めて子供に全く無害(長期的に見て)に出来るのでしょうか。

 

  フクシマは被災地のモデルです。ここに新しい雇用になる別の産業を生み出しましょう。それは放射性廃棄物管理のモデル作業。放射能の影響を受けないメガソーラや風力発電の設備の設置、すでに送電線はあるのですから、原発以外ならどんな発電でもいいでしょう。ここで働く人は放射線防護自動車の中から無人作業車やロボットを操作して作業を行います。そのロボットの開発は、福島県内の30km以上離れた場所にある工場で行い、ロボットが故障したら除染してから放射線防護自動車に積んで持って帰ります。当然これにかかる費用は廃原発管理費です。

  遊休地に植林しておけば300年たったら素晴らし森が出来ているでしょう。

 

  原発の事故率は54分の3と言うのが現在の実績です。故障の無い機械は無いし、失敗しない人間も世の中で居ないでしよう。偉くなると組織も人も聞く耳が鈍ります。思いがけない天災もあり得ます。戦争やテロの危険も考えねばなりません。

  「原発の電気」と言う利得を安く得るために、われわれは当然のこととして、このリスクを負っていたのです。それをさもリスクが無いが如く、安全神話を作ってきた政府や電力会社も問題でしたが、それを知らされないふりをして、責任転換をしていた我々国民にも、残念ながら責任があったと思わざるを得ません。フクシマの復興や今後の原発の有りようを、これからは自分のこととして考えるべきです。

 

  電力の発電方法別の集計を見ると。今まで40年間に、原発で発電した電力は、だいたい8兆kw時でした。(下の写真参照)

 

  これをいくらと換算するかですが、かりに7円として56兆円としましょう。今回の被害額はいくらになるでしょうか、補償額13兆円とか、国と経済全体の損失を入れて48兆円だとか、いろんな計算がされていますが、結局は、安いと言われていた原発の電力は、実は高いものだったことがわかりました。

  今後それでも使うのなら、リスクを覚悟して、安全に十分お金をかけて、稼働年数を短かくして、故障したらさっさと廃炉にする、として使ったらよいでしょう。20年使った中古車よりも、新車の方が格段に故障しないし安全なのは、皆さんが良く知っていることです。同じことです。

 

  50年昔に、日本にとっての夢のエネルギーとして原発に期待したことは理解できます。「事故の無い機械は無い」の経験通りに事故が起きて、その被害の大きさに起きて見てから愕然とした今(実はこれでも運が良かった、下手をしたらこれの100倍であった)、その後の技術進歩で、電気という同じものを作るいろんな方法を持つようになっています。

  これから原発を100倍安全なものにすることはできるでしょうが、そのためにかけるお金と努力と、同じ力をほかのエネルギー獲得の技術開発に使った方が賢いように思うのですがどうでしょうか。

  

  燃料から得られるエネルギーが、他の手段よりも格段に大きいと言う利点は、燃焼を失敗した時の被害の大きさも格段に大きいことを意味しています。

 

  日本の原発がすでに54基あり、それがどういう状況かについては、前に表にまとめて(この文章の下にあります)思ったことはすでに書きました。

 

  さらに世界中の原発の状況を書きます。

(2008年1月現在で( )内は建設中と計画中を含む数値です)。

アメリカ104基(105)、フランス59基(60)、日本55基(69)、

ロシア27基(40)、ドイツ17基、韓国20基(28)、ウクライナ15基(17)、カナダ18基、イギリス19基、スエーデン10基、中国11基(27)、スペイン基、ベルギー基、台湾基(8)、インド17基(31)、チェコ基、スイス基、フィンランド基(5)、スロバキア基、

 

  このような原発が増えてしまった世界の中で、私たちはどういう役を果たしたら良いのでしょうか。

  フクシマは身を持って世界に貢献できる、貴重なものだと思いませんか。どこかの国で、次の爆発が起きる前に、巨大な危険性を認知させる。価格競争でのコスト削減されたプラント輸出など止めてもらいたいものです。

 

  意識しない内に、いつの間にか日本の原発は54基になっていました。これを今知ったのは私が不勉強だったからですが、日本のエネルギー少資源国の未来を考えて関係者が頑張って進めて来てくれた成果でした。

  一方原発の問題に気付き、反対運動をする方もいました。これに従い問題を起こさずにすむシナリオもあったと思うのですが、3、11の原発事故は起きました。これは防げた人災です。フクシマでは、30mの丘をわざわざ10mまで削って海水のくみ上げに有利なように低くして原発を建設していたのです。

  3、11の前の年に、東電の人が発表した1200年昔の貞観津波の被害のレポートを見ましたが、おそらくこの「1000年に一度の災害」に対する備えの訴えは、社内では杞憂だと笑われて無視されたのでしょう。

  事故の影響が自社内だけにとどまる企業の場合はその姿勢は許されたでしょうが、原発は、それもチェルノブイリやスリーマイルの前例がある中では、過失と言って済ませないですね、別の安全基準があるはずです。

 

  この、これから世代を超えて管理しなければならないフクシマを、負の遺産にしてしまうと、その職場に優秀な人は集まらず、管理は続かず、廃墟のようになってしまう。希望のある職場では無くなり人が来ない。動かない原発も、動く原発も、やり手のいないお荷物になってしまう。数百年希望を持って自から発展していく物にするにはどうしたらよいか。

  「安全エネルギー技術開発センター」、動かない壊れた原子炉からほどほどの安全な距離の所に、廃炉管理にふさわしい大きい予算を持ち、脱原発も含めた、「絶対安全なエネルギーの技術開発」を行う試作研究所を作ったらどうですか。

  これなら誘致の魅力もやる人の希望もあるのではないか。

 

  さらに最後に、今回貞観津波が1200年昔に起きた、今後も1000年先を考えた街づくりをしようと動き出していることは嬉しいことです。

  「孫の代まで」と言う発想から、「1000年先の未来のために」との思いが自然に人々の共有する想いになったのです。未来のために、津波被害を乗り越えて、考え、やりたいです。(大森弘一郎)

 

 

【日本の原発の状況】 (26)20110830

 

  フクシマの事故があるまで、日本に54基もの原発があることを意識していませんでした。世界にはその10倍。この無関心を恥じて、今日本の原発はどうなっているのかを1枚の表にまとめてみました。2011年7月の状況です。この内容は10以上のいろんな資料の中から拾い出したもので、未だ抜けているところがあります。これはこれから探して埋めていこうと思います。もし誤りを見つけた時はご指摘ください。

 運転は赤、検査は黄色、停止は青にしました。稼働開始日は、稼働が30年以内を青、31~40を黄色、41以上を赤にしてあります。

 これをあらためて見ているといろんなことに気づきます。台数の多さ、いつの間にこんなに依存していたのかと言う思い。停止の多さ、MOXがいつの間にか、運転効率の悪さ、この中に隠されている危険の量。それぞれのお考えで良くご覧ください。

 

 

【シドニーからの手紙】 (25)20110820

 

  オーストラリアに住みついている友人のA君から7月11日にメールが来ました、その中には日本を心配する言葉が随所にあります。永く日本を離れているため、日本語が少し日本人離れしているその部分だけに手を入れて、原文の要部を紹介させていただきます。
  日本を離れていて、外から日本を見て心配する人の言葉には、心に響く至言が多く含まれています。参考になると思いA君の了解を得てご紹介します。

 

  (前略)日本は暑い天気が続いているようですね。充分ご自愛ください。南半球の地シドニーは今一番寒く最高気温が15度しか上がりません。寒いので日本から身体に貼る保温材(カイロでしたでしょうか名前を忘れました)を探して仕事をしようとしましたが、日本とは気候が反対のため、日本の薬局には今そのような物は置いていないようです。(中略)

 

  日本の政治の混乱には呆れた口が開きませんね。この大変な国難の時期に首相が交代して政治的な空白ができるのは混乱の元です。おそらく大変な混乱が起こるだろうと思います。このような時期に誰が首相になろうとも実際に取り仕切るのは官僚ですのでおんなじことだろうと思います。
  自民党は盛んに菅直人をやめさせようとしていますが、それに代わる代案が自民党から出てきません。こんな政党にまたもどるようでは本当に日本の将来は暗くなります。こんな自民党では民主党がどんなに不甲斐なくても、決して自民党政権に戻してはならないと思うのは多分私の偏見ではないと思います。

 

  今のすべての問題、原子力行政、少子高齢化などは全て自民党、公明党が中心になって国策として行なってきたものです。自民党、公明党はそれに対する責任を果たしていないで民主党政権の問題としています。
  私のエネルギー政策に関しての意見は少々一般の人には受けいれられないかもしれませんが書きます。

 

  すなわち日本のような自然災害が多くて、どこからも電気の補給ができない国は、原子力発電はすべきではないように思います。かならず長い年月では放射能の放出によって人の住めない地域が出てきます。
  たしかに今の生活水準を保つには電気が必要ですが、とにかく一番早く出来る天然ガスを使用したダービン発電設備を早急に整備してゆくべきだと思います。
  それはほかの発電設備よりも安く、尚かつ早く設置できると思うからです。そして早く政府として脱原発政策を打ち立てるべきです。

 

  そうすれば、日本の高い技術力で効率の高い太陽光発電、風力発電、地熱発電が出来上がり、かならず将来原子力に換わる量の発電が行われるのではないでしょうか。
  大々的な地熱発電を行なっているニュージーランドなどの設備の大部分は日本の設備と技術です。今のままの中途半端さでは企業として自然エネルギーを利用した設備の開発に本格的に取り組めません。

 

  放射性燃料の運搬費、発電の維持費、廃炉に至るまでの費用、再処理費用、事故が発生した時の補償費を考慮していけば、原子力発電は決して安いとは言えないのではないでしょうか?。電力会社を外から見ていると原子力発電が止まると発電量が不足したリ、経済活動に大変な支障が出ると盛んに言わせていますが、本当にそうなのでしょうか?

  電力会社の言い分が本当に正しいのか客観的なデーターなどを使用して真剣に検証することが必要だと思います。ただ、今のような、自分に都合の悪いことは隠して、原子力発電は稼働すべきだという前提で行動を起こしているような電力会社では信用できませんから、第三者によってです。

 

  オーストラリアにも日本の電力会社が進出していますが、この中で東京電力を中心とした子会社が来ています。
  彼らの社員はすべて日本の九電力会社から派遣されてきていて、彼らが1年に1回オーストラリアの石炭連合と交渉をして1年間の価格を決めます。この価格が世界の石炭価格になり、他の国が購入するときはその数字から何々%引きで購入しています。すなわち日本の電力会社は世界一高い価格で購入していることになります。

 

  この会社の人間を見ていますとまるでコスト意識がありません。むしろ自分たちが世界の価格を決めていると自慢げに話しています。このような会社の体質ではとても日本の電力の全てを任すわけに行かないと思います。
  オーストラリアの場合は、発電と送電は全く別の会社であり、自然エネルギーなどは発電所を持てない小さい会社から、製造過程で生まれる小さい電気を購入して送電会社は経営しています。日本のように地区ごとの独占企業ではありません。独占企業であるから今回のような事故の処理や、自分の不都合な情報を隠したり、住民を騙して原子力発電を行なったりしてしまうのではないでしょうか?
 今問題になっている九州電力のヤラセなどは多分九州電力だけでなくすべての電力会社で起こり得ると考えるのは私だけでしょうか?(A)

 

 

【汽仙沼・幽界の体験・あ (22)20110720

 

 

  JRの東北乗り放題1万円で気仙沼へ行った。車掌さんの勧めで駅から線路を鹿折唐桑駅まで歩く、踏切から線路に入り列車の通らない錆びた線路の枕木を歩く、トンネルの中は真っ暗。最後のトンネルを出ると遠くに青い漁船が見えた、盛土の線路の右側に、えぐられ、むしられた家、積まれた瓦礫が。左にある家はこの盛土に守られたのだなと思って、その家の人に聞くと、津波は土手を越えて家に来たと。逃げた裏山を指さしながらここが良いビューポイントだと言う、ユーモアが救いだ。
  すぐ近くに見える駅の柵につかまっていた人は助かったが、そこからこの山に逃げて来た人は流されたと、それを見ていた。地獄のビューポイントに登りその時を思って見渡す、その日雪が降っていて寒かったそうだ。今日は休日で重機が止まっているからこれでも臭いが少ないと。


  駅の近くには1000トンぐらいの漁船が鎮座している。動かしようがないのだそうで、モニュメントに残す考えもあるらしい、潰された車を積み上げ盛り上げたヤマ、木材のみ、金属の瓦礫のみ、いろいろと分別された廃材が積み上げられてあちこちにヤマが出来ている。えぐられた建物、倒された剥がされた建物、がれきをどけた後の地面は腐敗した水がたまっている、潰された車に、廃滅すると言う所有者への張り紙がある。

  釘を拾って少しは被災地の役に立とうと強力なネオジューム磁石を入れた缶を引きずって歩く。
  港に出ると、うねった地面の先に真っ黒の船が係留されていた、表面はすすけ、焦げてはがれ、それが消防艇であることが解るのに時間がかかった。
津波の時を無事にどう乗り切ったのだろうか、消火に活躍してくれたのだろ、だれもいない。
  大島への遊覧船の桟橋があって、あとで火の海から島の人たちを救った船はここにいたのだと解る。坂を登り、降りふたび津波の跡地に出る、河北新報社のビルは見かけは健全だが窓はやぶけて無人、この周りに人の気配はない。歩けども歩けども、壊れた家と瓦礫を積みあげたヤマと水たまり、やっと人に会う、友人の家を探して来たがあとかたもなかったと。
  説明を聞いて、今自分のいるところが地盤沈下した現場で、そこに盛り土して道路が出来ていることを知った。その上にいる自分、横の水たまりは沈んだ道路の面であった。


  地獄のビューポイントと話した女性も、この年配の男性も、話したいことがいっぱい詰まっていて、いつまでも話したい、親切で人恋しく、伝えたいことが多い、そういう人たちだ。
  地図にある目印の駅に行く道を聞く。目指す駅は多分ないですよと方向を教えてくれる、歩けども無い。道は沈んで水が深くて通れない。あるはずの所に道が無い、周りは一面に瓦礫のヤマと、水たまりと、ポツリポツリと外観のみのこり、破れ、傾き、削られた家、遠くに立つ家は悪夢の中に出てくる魔女の家のよう、人の気配はない、地図を頼りに道を行くとへこんで水がたまっていて通れない、迂回した道も先がない、航空写真を持って調査している人がいて聞くと目当ての線路はないかも知れないと。自分にもどうなっているか解らないと。
  橋が少し先に見えて、そこに行く途中、曲がった長い棒がくねっている、良く見るとこれが線路。この辺に線路があったのかと、地図と見比べて考えると、そこに壊れた橋げたがあった。盛り土の畝の方に行くとそこは鉄路の後で、その上にくねった線路の鉄材があった、川をまたいでいる橋かと思った所は、下は川でなく道で、道をまたいだ高架であった。
  地図を見ると気仙沼駅に帰れる近い道があるのだが、帰路に迷って、ここから脱出できないと大変だと思い、来た道を、同じ瓦礫と水たまりの中の道をたどる。途中堤防に出る、上流にさかのぼる、水をかぶった桜の並木の下を通る、河の中で土を移動する重機が動いている。大きい橋がある、散歩の人が歩いている。
  やっと人の世界に帰れたの気持ちになった。

  さてあと30分か40分だなと駅に向かって歩く、避難の人のことを考えるとこんなのに疲れてなんかいられないと歩いていると、向こうから空車のライトを点けたタクシーが来て、つい拾った。人心地がついて運転手とおしゃべり。12時半から5時半までの幽界の夢のような、時間の経過の無い滞在であった。ここにいた人たちは、その営みはどこへ行ったのだろうか、これからどのような復興がされるのだろうか、祈るような気持ちで思う。
  帰りの車中日経サイエンス東日本大震災を読んだ、良く頭に入った、原発は人災、津波は天災だと思っていたが。869年の貞観地震の古文書の記録と地層に残っていた自然の記録(自然の古文書)を生かしていたら、今回の被害がもう少し小さくて済んだと思える。
  動くプレートの上に住む人間が1200年昔を考え、次の1200年を考えてこの地の復活を考えるようになった。1200年に一度が明日かも知れないことを覚えた。未来への思考の時間距離がこんなに長くなった。
  この習慣を他にも広げたいと思う。問題は、解って行動できるかだが。どんなに安全だと思わされてきた原発も、事故の可能性が常に有る。100パーセント安全はあり得ないことがやっと常識になった。  

  リスクのある一時の繁栄と、安全である平安とどちらを選ぶか、その判断を、一人一人が考えて持たねばならない。日本人はそういうことを覚えた。(大森弘一郎)

  気仙沼市役所:0226-22-6600 観光案内所:0226-22-4669

漁船と消防艇


沈下した道路、全体はもっと下がっている、被害の痕跡は残っている

消えた線路、消えた街の地図、良く見るといろんな営みの場が書いてある

 

 

【驕りと過信】 (24)20110727

 

  この2文字はフクシマの直後に自分の日記に書いていました。事故にはこの言葉が必ず有りますが、今回ほど目に見せてくれるのは珍しいです。犠牲者には申し訳ない言い方になりますがお許しください。

 

  中国で新幹線が追突して高架から落ちた。世界の最高技術を集めてきて自分の物にしたのだから、安全が保証されていると思っていたのでしょうか。あるいは自分の複合技術に過信があったのでしょうか。
  新聞には、「日本ではこういうことはあり得ない」と書いてありました。いつか聞いた言葉、日本の原発ではチェルノブイリのような事故は「あり得ない」と。この過信の言葉を聞くと「新幹線おまえは大丈夫?」と言いたくなります。驕りは禁物です。1964年に開業以来5000万km無事故の実績は貴重な財産です、絶対に事故を起こしてこの実績に傷をつけてはいけません。中国の事故を他山の石にしていただきたいです。
  新幹線の無事故の実績には、あわやの幸運もありました、それらから学んでいると思いますが過信は禁物です。すぐ近くのフクシマに教材はいっぱいあるはずです。
  フクシマの第1原発がアメリカのGE製で、いざ鎌倉の時に、電圧が違って電源車からつなげなくて役に立たなかった。その心の背景に中国はどこか似ていませんか、その中国の事故から日本も学ぶことがいっぱいあるはずです。

  そのあとが凄かったですね、落ちてきた追突した先頭車両を、証拠隠滅か人心の平安のためか知らないですけれど、穴を掘って。壊して人の遺体と一緒に埋めたと言うのは凄いと思いました。恐ろしい。何はともあれこの発想が無茶苦茶。それを掘り出したからなお驚き。

  これは技術の世界ではないです、こんなことでは事故原因の究明は出来ず。技術は進歩しません。隠滅したいことが有ってやったとしたら、見事にそれは出来たでしょうが、また似た原因で事故るでしょう。失敗と言う技術進歩の絶好の機会を埋めてしまったのです。

  これほど天下の元で、証拠隠滅するのも面白い(言葉がまずいですが)ですが、もし中国で原発の事故があったら(今度は、アメリカシンドロームですが)どうするでしょう。チェルノブイリの事故の情報隠しがソ連崩壊につながったように、中国にせよ日本にせよ、国家のかかわる巨大技術が失敗したときの、影響はすごいですね。

 

  日本も今同じ場面に立たされています。安全の保証に失敗した。その補償を完全にやらないと、保証も出来ず補償も出来ずになってしまう。

  100パーセント安全の保証は出来ませんが、100パーセントの補償は出来るのです。この前例を作ることがが、運転再開の鍵なのだと解らないのでしょうか。(大森弘一郎)

 

【ノーベルの後悔】 (23)20110723

 

  ノーベル賞のノルウエーで爆弾テロがあった。岩盤をくだくためにダイナマイトを発明したノーベルは、それが戦争の道具になったことを後悔したのではないでしょうか、これは勝手な想像ですが、それがノーベル賞になったのではないかと思うのです。

  人間はその後も科学を善用もし悪用もして来て、人間ははたして進歩したのかどうか。人間には、石器時代の道具、こん棒と石を持たしておけば、テロや戦争をするにしてもたかが知れていたのにと思うことがあります。人間の群れは危険物を持てるようには一つも進歩していないのです。

  核分裂もそうです、1933年に連鎖反応を考えたシェラード、その後彼は原爆使用に反対して行動したけれど通りませんでした。1942年に世界で初めて原子炉を作ったフェルミははたして今何を考えているか。

  今の人間社会を考えると、利他でなく利己で動くいろんな政治家がいて、安全よりも採算を重視する人が経済社会を動かし、大衆は目先を喜び、中にはテロ手段を使う者もいる。そういう人間の群れには、科学の進歩は早すぎたのではないか。先に人間集団の精神が進歩し、それを見定めて科学が成果を与えるので有れば良かった、しかし科学者も競争で、ノーベルはそれをあおっている、何とも皮肉な現実です。(大森弘一郎)

 

 

【コメットの行動から】(21)20110716

 

  1952年5月に世界で初めて運行を始めたジェット旅客機(英国デ・ハビラント社製)は華々しいフライトで人々を魅了していました、私も乗りました。1954年1月と4月にたて続けて2機が空中分解で墜落。このニュースは覚えておられる方もおありだと思います。

  チャーチルの指示で、巨大な水槽を作り、予圧による繰り返し変形を破壊するまで行った。その結果、数万フライトに耐える筈の構造寿命が、1桁少なかったことが解ったのです。窓枠や機器の取り付け部の金属疲労から亀裂が走ることがわかりました。この報告が1955年2月に出されています。事故から10カ月目です。

  高空に上昇し降下する減圧の繰り返しによる、その局部の金属疲労はその時から明らかになりました。

  その教訓は今の航空界に生きています。しかしその後対策が取られてコメットが再デビューした時には、後発のボーイングよりも運行効率で劣り、1年に3万人を運んだコメットの復活はありませんでした。

 

  このことはフクシマにもすごい教訓であると思いませんか。コメットでの事故調査の姿勢と後の対応のすごさ。事故で全機運行を停止して後、1年も経たない間に、当時知られていなかった金属疲労と言う問題を突きとめて発表したこと。

  一方、もんじゅでも金属腐食の問題がありましたね。原子炉は高温高圧の中を、水を高速で循環させるもので、金属の放射能脆化や金属の部分的な肉痩せや、解っていないことがまだまだ多いようです、原発は実機で破壊テストをする訳には行きません。フクシマは実機の破壊テストになってしまいました。  

  この教訓は世界に役立っているでしょう。しかし日本こそ役立てねばと思います。今も放射能汚染に対する対応と言う、日本中を巻き込んだ実践テスト中、悔しいですが世界の目の前でのモルモットです。

 

  シュミレーションのストレステストが始まるようですが、これで保証できるだけの解るデーターがあるのでしょうか。もし運転再開をするのなら、耐用年数の実稼働テストは出来ないのですから、過去の稼働日数からよほど割り引いて、絶対に事故の可能性のない安全率を2倍にした範囲にすべきです。

  それでも絶対に安全はあり得ない、早く安全圏に脱出したい。

 

  原発は現在のリスクを犯して、未来のリスクも巻き添えにしている社会システムです。安全の保証が出来る社会システムを作り、新しいライフスタイルを確立するチャンスではないかと思います。

 

  飛行機は良くやっていますが、それでも事故率0ではありません、及ぼす影響が桁違いに大きい原発は3/450の事故率です。まだ経験の浅い未熟な技術ですから、いつかどこかでまた事故は起きるでしょう。その時また世界は動くでしょう。その時にさらに未来を犯していることに気づくでしょう。

   

  人間は、機会平等の社会になろうとしていますが、これは「現在」の中でです。あまり気づいていないのですが、時間軸の中でも平等であるべきはずです、だとしたら資源収奪型の、蔵のストックを使いきる方向のエネルギー消費社会をどう考えたら良いでしょう、放射能汚染という負の遺産を残すのも。

  未来に資源を残す生活を考える良い機会に直面しています。(大森弘一郎)

 

 

【放射能汚泥の行くところ】(20)20110715

 

  放射能汚泥の置き場がもうすぐ満杯になるのに対して、6月24日に農水省がセシュームキロ200ベクレル以下なら、これを肥料にして販売しても良いとの決定をしたらしい。こんな無知な愚策はないです。せっかく濃縮して集めたものを広く国中にばらまいたらどうなるのでしょうか。キロ8000ベクレル以下なら跡地を住居でなければ使って良いともなるらしいです。

 

  どうせ廃炉になり、100年以上管理しなければならない福島原発1号機、その周辺にいくらでも使えない土地はあるのですから、これを購入して、人から隔離した区画を作り、ここに汚泥を運んで、出来れば無人の耕運機で鋤きこんでおきます、半減期があります、放っておけば時間が経てば、少し長い時間ですが、放射能は自然に減ってくれるのですからそれまで1ヶ所に気長に隔離しておくのです、こんな易しいことに早く思いついてほしい。行き場の無い放射能灰についても同じです。放射能は、燃やして形を変えても消えませんから、これからどんどん出て来ます。これはばらまいたものを1ヶ所に集める機会です。隔離法を早く確立する必要があります。(大森弘一郎)

 

 

【土地買い取り補償】(19)20110711

 

  フクシマの汚染水を海に流さないように、陸に封じ込める工事をしてほしいと、その方法を具体的に書きました。汚染水の浄化と言うのはろ過であって、この故障を直す人は放射能汚染水で汚れてしまう危険な作業をすることになります、しかしお願いしたいと書きました。そもそも燃料棒による放射能汚染水を処理する機械が量産されているわけはなく、したがって故障も多いと思うのです。

 

  フクシマ10km圏内は、早く土地を買い取って、そこにいた人には気の毒だけれど替え地に移住して貰うことにする、半減期が30年、1千分の1に放射能が減るのは300年ですから、その後は東電が気長に管理すれば良い、住民にズルズルと希望を持たすのは可哀そうだと書きました。10km圏内を一坪一万円で買い取るには、4800億円が必要です。その場所には太陽光と風車の発電設備を置けば良い、圏外で組み立てて、ロボットで現地に運び込み設置するのです。新しいエネルギー基地になります。

  放射能汚染灰がこれから各所で多く出ると思いますが、これはこの土地に大きな遮蔽用の土手を作ってこの中に持ち込み、300年飛ばないように草を生やして放置(封印)します。置いておくだけで半減期で消えますから気が楽です。

 

  魚の被害とりあえず何10億円、酪農被害何10億円、野菜の被害、住民の被害、子供の対策、土の入れ替え。と何10兆円になっても、東電か国は補償してくれると思います。国が補償すると言うことは国民が負担することですから、責任者の東電が責任を取ったことになりません。やはり前に書いたように東電は送電網を売って補償するべきで、そうすれば将来に新しいエネルギー網とエネルギー産業を作る仕事に貢献したことにもなる、そうするのがいいです。

 

  ついでに原発の政府保証をやめて、保安院や安全委員会の拘束なしに、電力会社が自己責任で自由に判断し、独自に住民の理解を得て、やれるようにすれば良いです。フクシマが手本になり、政府への甘えが無くなりますから、企業としてもっと厳格に慎重になり、早く廃炉にし、有利な発電方式を選び、その結果より安全な、広く参加されたエネルギー供給体制が出来るでしょう。

  当然電力会社の役員は個人財産で個人保証をします。広く人々に何がしかの危険のある手段で発電をする企業ですから、リスクに対していくら補償されるとしても当然でしょう。

  これは名案ではないでしょうか。(大森弘一郎)

 

 

【フクシマが残してくれるもの】(18)20110705

 

  チェルノブイリはソ連崩壊の引き金になった。国を壊して作り直すほどの影響力になった。

  フクシマは日本を変え、その日本が世界を変える手本になるのではないか。その兆候が見えているように思う。

 

  今回のフクシマは、まだ安心状態に終息したわけではないし、玄海をはじめとする各地の原発の再稼働問題や、上関の建設中止の問題、MOX問題が安心な方向に動いているわけでもない。しかし一応1~2年の身近なことをさて置いて、今後のエネルギーに絡む問題を考えてみたい。

 

  今回我々日本人は、①原発の「安全・安く・クリーン」の大嘘が解った。②放射能の知識が増えた、東電の株主総会で8パーセントしか原発反対とは株数だろう。人数比はどうだったのか知りたい。日本人は随分利口になって原発と放射能の怖さがわかった。③電力とエネルギーの持つ重要さと問題がわかった。④エネルギー多様化が必要であることが分かった。⑤節電、省エネ、結構やれば出来るじゃないか、と解った。⑥原発の事故率が3基/54基であり。確率も高く事故の大きさも大きい、リスクの大きいものであることが解った。

   

  今回の全体の経験を通して、けっこう省エネルギーは出来、生産活動や、消費生活にとって我慢できる範囲で、1~2割の削減は出来ることが分かった。これは国民全体で分かったということだ。一方同じことを通して。やはりエネルギーは必要である。CO2排出を26パーセント減らす、半分にするなどと言うことは、容易なことではないことともわかった。やりすぎると生産活動に影響する。

  事故から唯一役だったことは、それと危険のリスクとどう選ぶかを自分で考える必要が生まれた。未来の生活の選択肢の中が目に見えたことだ。

 

  地球環境論者や自然保護推進者がいろいろ熱心に言っても中々実施されなかったこと。①無駄な消費を控えるライフスタイルにすること。②省エネルギーシステム、省エネルギー社会にすること。③多様なエネルギーによる多様な発電を推進し、送電網に載せることをすること。④地球環境は現世代だけのものではないことの認識の共有したこと。⑤他を思いやることが増えたこと。

  これらのことが多くの不幸を代償にして一気に加速された。

  今、これを生かして、人間の進歩の方向の軌道修正をしなければと思う。

原発は原爆の兄弟で、人の従順な仲間ではなく、今の人が手なずけられるほど素直ではなく、。原爆と同じく、家畜にはならない野獣だ。

  すきあらば、人を破滅に導こうという性質のものだ。1903年からの多くの頭脳と努力と汗と犠牲の結果、すでに400基以上の原発が世界にある。

  しかし技術に失敗はつきものだ。人に無限の予測力を期待は出来ないし.人は能力、責任権限力と比例して過信と傲慢も向上する動物のようで、この社会で今後も無事故と言うことは保証出来ないだろう。天災、人の油断と初めてのことに対する対応力。テロもいるし、ITも無防備のようだし、上から何が飛んで来るか判らない。マニュアルに出来ない、過去経験のない新しい何かに防備することは多分出来ないし、未経験の事故や災害の時に見事に対応する能力を常に持つことは多分不可能だろう。

  10年に1回ぐらの割で、世界のどこかで悲惨な大事故があり、それからまた別の反省をする。人類に致命的なダメージを及ぼさない内に、次の安全なエネルギーを獲得してくれて、平和な、持続可能を共通目標にする、そんな世界が作られると良い。起きてはいけない国同士の戦いは、間違えても有限だったが。自然との戦いは相手が無限だ。、
  その戦いのやり方は、相手と仲良くすることに尽きる。

 

  数千年の未来の人(子孫)のために、現代人は資源を使い果たして良いのかの問題。動物も、昔の人も、自然から与えられるほしいだけ得られる資源、毎年繰り返し与えられる、必要なだけの(無限の)資源の範囲で生存していたから、要するに持続可能の生活、無限の資源の中で暮らしていたことになる。
  それが有限の資源に手を出して200年ぐらいになる、この使った物は元に戻せない。それこそ未来世代のために手をつけずに、世界遺産としてストックしなければならないぐらいのものだった。
  地下資源、化石燃料は蔵にしまっておいてすこしずつ使うのでなければならなかった。今のように貯蔵資源に手をつけて得た技術で、急いでより安くて自然に供給されるエネルギーを手に入れることだ。そして蔵の鍵をかける。
  地下から資源を搾取するのでなく、天から公平に降り注ぐエネルギーの中で出来る消費で生きることを、欲張らずにすることだ。このエネルギーを缶詰にする技術はすでに有るから、移動可能だ。

  原発を地震の発生源の上に置くこと、放射能廃棄物を増やし続けることは、早くやめる。地球のきまぐれが。いつ起きるか、それとの時間の競争のように思う。
  人間が人間である限り避けられない次に必ず有る事故の前に、この危うい橋を渡るのを終わりにしたい。原発の電気は、事故による損失を経費に加えると、2倍ぐらい高いのだから、当面はさらに安全にコストをかける。耐用年数の1/2で廃炉にすれば、少しは安全度が上がるだろう。


  化石燃料は緊急用。原発はない、太陽光、森林、風、水、海、地熱、水素、Mg、有機ハイドレード。フクシマの損失は、補償されるものと、されないもの全てを加えると10兆円以上だろう、。これぐらいを今後の投資に回せば、次の世界の技術資源は生まれる。

  ロディオで、暴れ馬を御するのを見るのはは楽しい。しかし所詮は落とされる。原発はこの暴れ馬だ。
  人間を数人の天才と考えず、テロやハッカーや危険なグループがいる人間集団。組織動物で、傲慢、過信、油断の避けられない人間。核反応を本当に制御できる人間は素晴らしいが、その人間は自分も常に制御出来る素晴らしい人間だ。人間はまだそのように進化していない。

 

  フクシマと津波の経験で、人は未来のことを考えるようになった。持続可能の発展を考えるようになった。無駄な消費の生活の無意味を反省した。未来のライフスタイルに近づこうとしだした。それを始めた日本人が世界を変えると良い。(大森弘一郎)


 

【放射線を通す防護服】(17)20110701

 

  今日、デュポンのタイベックスで出来た放射能防護服を試着する機会がありました、白い服の青い十字は、縫い目をシールしているテープです。これは放射線は通すけれど、放射能を持ったゴミを通さないためのもの。脱ぐときはそのまま袋に脱ぎ捨てて入れるか、表面を水で洗ってから脱ぐもののようです。その洗った水の処理はどうするのかな、と担当者の弁。

  着心地は、数分着て動くだけで大変、動くのも大変、これで暑かったら大変だろうなと、作業者や避難の人のことを思ったのでした。作業者がパイプの継ぎ手のボルトを締め忘れることなど起きて当たり前だな、それを防ぐ環境づくりが必要だなと思ったのです。すごい環境だと思える現場のことを考えると心が重いです。(大森弘一郎)

 

 

【玄海はフクシマを見てから】(16)20110629

 

  今日のテレビでの報道。玄海原発について、「安全が確保されたので」と佐賀県の知事が運転再開容認をにおわして言いました。安全が確保されるなどと言うことが言えるのでしょうか。確保と言う言葉は100パーセントの安全を言うのであって、これは技術に対してあり得ない言葉です。その言葉で納得する人々もおかしい。

  特に中性子と高温で鉄は予測より早く脆化するという問題がわかった玄海原発では安全確保とは誰も言えないはずです。

、 安全には心配だが、政府が保証すると言ったから責任を持ってくれるのだろう。と言うことで納得するあいまい決着になりそうですね。

  玄海原発の1号機は1975年稼働(36歳)、2号機は1981年稼働、3号機は1994年稼働で2009年からMOXを燃料にしている問題原発です。

 

  「99パーセントの安全だか、もし1パーセントの事故が起きた場合は政府が100パーセント補償する」と言う意味でしょうが、その範囲は佐賀に限らず全国ですから、要するに政府の責任で、国民の能力内で保証させると言うことになります。

  いずれにせよその責任の取り方を、フクシマで見せてくれるわけですから、玄海原発は今急がずにそれを見た後に、再稼働の返事をするのでも遅くはないのではないでしょうか。

  この夏節電で乗り切れるでしょう。やれば出来る省エネルギーの国民的体験は、貴重な経験と実績になると思います。(大森弘一郎)

  

 

【汚染水の封じ込め】(15)20110626

 

  東電が事故の責任を取るために汚染地域の土地を購入し、被害者が新しい故郷を早く作れるように、手助けするということ。それに必要な資金を得るために、送電網を民間出資の新会社に売ること、そうすれば新しいエネルギー技術の進歩が早まること。
  購入した汚染地には周辺部の汚染土の搬入を受け入れること。そこをソーラ発電の基地にすること。も述べました。更にぜひ急ぎやってほしいことは、地中に入った放射能汚染水が海に流れ込むことを防ぐために。汚染地を中心に海側に円弧状に、地中の遮蔽壁を作ってほしいことを書きます。
  これはすでに技術があるのです。建築現場で基礎杭を打つ方法と同じで、パイルの穴を直径より少し近い間隔で、等間隔にあけてコンクリートを流し込み、固まったら次にパイルとパイルの間に穴をあけてコンクリートを流し込んで、丸に丸が重なるようにした連続の壁を作ると言う方法です。
  地上の水は、地下を通って海の中に湧きだしています。その地下水の流れを止めて、陸の中の購入地に放射能を閉じ込めるのです。封じ込めた放射能汚染水は、井戸からくみ上げられるものはろ過して海に返し、あとは半減期を待って時間をかけて消えて貰いましょう。

  封じ込めが出来ずに海に流し込んでしまったら、あとが大変で、日本国の信用問題になります。このようにすることで、事故の後の処理を完全にこなす事例を示す機会にもなります。(大森弘一郎)

                      

 

【もし核を知らなかったとしたら】(13)20110622

  

  もし人間が100年ほど前に核分裂を知ることがなかったとしたら。人間はその後どう進歩したでしょうか。太陽光をもっと活用していたでしょうか。我慢の生活を考えたでしょうか。戦争がどのように展開したでしょうか。世界は今より平和になったでしょうか。どっちが地球人に幸せだったでしょうか。1903年にキュリー夫妻が放射能の研究でノーベル賞を貰って以降、多数の科学者がここに未知という宝の山を発見しているのです。だからたぶん核の連鎖反応の発見などに進むことは必然だったでしょう。しかしもしトルーマンがもう少し賢かったら、だいぶ歴史は変わっていたでしょうが。

  科学者はどうして、先を急ぐのでしょうか、高温の中の材料の変化、劣化とか腐食とか応力歪とかに地道に関心を向けて、核分裂とセットに出来なかったのでしょうか。

 

  科学の成果を実用化する時、その背景に必要な技術の周辺がある。この巨大技術の場合は、やってみて体験して知るでは遅すぎることを今回皆が学んだわけです。IAEAは有効でしょう、保安院も、でもそれよりも電力会社の自己補償負担額の上限を無制限にして、自己責任で安全対策を考えなければならないようにしたら良い、そうすればもっと自律的に安全対策が取られるだろうと思います。(大森弘一郎)

 

 

【天災と人災】(14)20110623

 

  東北の津波被害は天災。原発事故はその引き金が津波や地震であったにせよ、まぎれもない人災と認められています。世界中の人はそう見ています。どこかの国で火山が噴火して、その灰が世界中に散らばっても、人々それを自分の災難として甘んじて受けるでしょう。
  航空機への影響があってもどこの国も皆我慢している、もしそれが日照に影響しても、これは人々が避けられない自然現象だからです。

  原発事故を起源として放射能汚染が広がった場合、それが水爆実験のような故意のものでなくても、その責任追求がされると思われます。高濃度放射性汚染排水を海に流すことがあっては絶対にいけません。
  すでに世界は一つになりつつある事がわかります。地球が誰がいじっても全てに影響のある共有物である、と言う知識は意識となってきています。水道管の漏れを止めるように、パテで漏れ止めをして試運転を終わらせ、本運転に入る、どれだけ検討されていたかは知れないが、IAEAの会議に間に合わそうとしたのか、放射能汚泥が通ってから故障したら、それを洗い終わるまで人が手を出せなくなる事は目に見えているのに。
  無人運転で安心して処理できるまで、放射能のないダミーで充分に確認してから進まないと、放射能汚泥で目詰まりしたら、どうにもならないですよ。
作業員に被害がなく、拡散せず、僥倖で次の人災がこれから始まらない事を願うばかりです。
  ここは、手段はいくらでもある地上です。汚泥処理の会社はいくらでもある日本です、別にもう一系列分の処理装置を作ってここに持って来たらどうでしょうか。(大森弘一郎)

 

 

【はじめに】(1) 

 

  私は原子力技術者ではありませんし地球科学者でもありません。また原発反対の活動家でもありません。これらに関心のあるただの開発技術者ですが、普通の方より知る努力は多くしていたと思います。それを通して考えることをこれから順不同で書かせていただきます。

  今我々は、相当な困難に遭遇しています。突然、負け戦の真っただなかに放り込まれたようなものです。そこでいかに被害を少しでも小さくするために、何をしたらいいかを考えます。自分のわずかな知識で、しかし間違いのない範囲で、お役に立つようにとわかりやすく書いてみたいと思います。

 

  3.11の日、虫の知らせか、予定の外出を中止して家にいて帰宅難民にもなりませんでした。長い揺れを体で受けて、大きい地震を予感してテレビをつけ、それ以降津波の画面にくぎずけになり、次に原発の少ない情報にしがみついていました。被災された方々には申し訳ないのですが、その分一生懸命に考えました。9mm径の融点1900度のジルコニューム合金のさやが200本の束、それが100束ぐらいあって、その中のウランが2600度になっている、それが水の外に出ていれば、当然融けて落ちている、融点1600度の鉄の圧力容器の厚さは15cmですが、そこに落ちてくるウランの塊が水から出ていればどんどん発熱している、それが集まって臨界になるのでは、と最悪のシナリオが近づいているのを恐れ、僥倖による無事の収束を祈っていました。

 

  安心させようとするテレビ情報と異なり、ことはかなり深刻で、この素人の予測の通りに進んでいたようです。当初は情報が少ない中で必死に推測して考えましたが、最近は情報も増えました。問題の拡大は広がっていますが、原子炉は少しは落ち着いている感じがします。再び地震津波が来なければ、これから被害の拡大は今の延長でしょう。裸になった燃料に接している冷却水、燃料から出るウランやプルとニュームを含む高濃度放射能汚染水の拡散や、いろんな問題が出てくるでしょう。普通なら入れない現場にいま近づいて、決死的に働いてくれている方たちに感謝するのみです。

 

  これからどうなる。どうする。原発は被災者は、津波地震の被災者は、復興は。

 

  識者や専門家がいろいろ話し、政府や東電も動いていますが、基本は被害の根本解決ではなく、問題の当面の収束に有るようです、ですから言われていない側面からのお話をしたいと思います。

 

 

【半減期と言う言葉について】(2)

 

  私たちは、楽観的でありたいと願います。だから半減期8日と聞けば、8日で半分になり、あと8日で残りの半分も無くなるのではと考えたくなります。その誤解を期待して使われている節があります。でもそうは行かない。残りの半分が更に半分になるのに8日、さらにそれが半分になるのに8日。だいたい1000分の1になるのには半減期の10倍の期間が必要です。ヨウ素は80日で殆んど気にしなくても良い量に減るでしょう。

 

  しかし半減期30年のセシュームはそう簡単ではないのです。土に吸着したセシュームの放射能がほとんどゼロに近い1000分の1になるには300年かかるのです。

  子供たちが遊び土埃を吸う、校庭の土をほじくり返して下に入れて、下にあった放射能の少ない土をその上に被せても、その下にある土の放射能が半分になるには30年、ほとんどゼロには300年かかるのですから。そのうち記録を忘れてしまって、汚染した土をまた出してしまうことがあるかも知れない。だから剥がした土は別の場所(あとで提案を書きますが)に移すのがいちばんだと言えます。

 

 

【半減期の活用】(3)

 

  普通の物質は、加熱したり反応させたりすることで別の物質になり消えますが、放射性物質の放射能は、半減期を待つ以外に消えません。ですから隔離して気長に待つ以外に方法が無いのです。

  地上に降り積もった放射性物質は、どこかに飛んで行ったりしみ込んで地下水で流れる以外そこから無くなりません。ただ、移動してどこに行こうと半減期の速度で減って行ってはくれるのです。

  ならば、1ヶ所に集めて安全に移動しないようにして、そのうえで活用するのはどうでしょうか。

 

  東電は9カ月で解決するようなことを言っていますが、半減期の性質から考えてそんなことはあり得ません。ずるずる次々に問題が出てきて、計画通り対策が進まないと考える方が良さそうです。どうか10km圏内とその周辺の方々は、そこを自分が生きているうちに帰れる場所であるとは考えないで、新しい天地を見つけて下さっることをお勧めします。残酷ですがその方が早く未来が開けると思います。

  東電は、早くこの1~2万ヘクタールの土地を、十分な価格と補償料で買い取るか、換え地を見つけるかして、新しい居住と耕作など仕事の出来る土地を被災者に上げて下さい。それは企業の義務だと思います。

  そしてその購入した放射能汚染地を活用して、放射能が消える300年後に生きる地域の、建設にかかっていただきたいと思います。

 

 

【2万ヘクタールの活用法】(4)

 

  この土地に人は住めませんが、自然淘汰の許される動物や植物には住める土地です。ですから一部の土地は森林や緑地に残して植林もし、他の適地には太陽光発電と風力発電の設備を設置します。この作業と保守と設備の拡張で地元の雇用も生まれ、これを行う放射能防護車や遠隔ロボットの新技術も生まれるでしょう。

  校庭の表土は、この東電の土地に運びます、酪農家から買い取った放射能乳、汚染された野菜、魚、汚染水をろ過した汚泥が有害でなければこれも、セメントに出来ない放射能焼却灰も。これらを置く場所は充分ありますからここに運び、客土のつもりで表土を被せて小山を作り表面を植物で覆います。この小山の放射能は時間が経てば次第に減り、300年後には心配なくなります(セシュームに関して)。

 

  今は一ケ所に集めて、飛散を防ぎ時間を待ちます。つまり子孫には良い環境を残し、発電の基地としての存在は残せるのです。 

  ソーラを敷き詰める面積をいくらにするかによりますが、仮に2万ヘクタールにびっしりおいて、昼夜と天候の問題を無視するなら、2000万kw。ですからその発電量はいろいろの条件を引いても原発数基分ぐらいあるはずです。

  太陽光や風には天候などの不安定な要素があります。そこで天然ガスのタービンによる発電所を併設し、アクセルを吹かしたり緩めたりと自然エネルギーの変動をカバーします。タービンの寿命はほぼ運転時間に比例ですから、このような運転法で設備の寿命は延び、償却が軽くなり、また燃料使用にも有利です。

  出来ればタービン発電機は需要地に置いて、温排水の利用も出来ると良いのですが。

 

 

【送電網の売却】(5)

 

  さて2万ヘクタールの購入にいくら必要でしょうか。1億平方米です。平米1万円とすると、1兆円です、この数字がいくらであるにせよ全体のほんの一部です。今回の事故による有形無形の損失はどれくらいでしょうか。10km圏内であるために復興できないという工場から、農産物の被害、水産物の被害、風評被害、などなど数兆円。5兆円か10兆円か、人により考える数字が違うと思いますが。補償されない見えない被害も含めると20兆円か。

  そしてこのお金を東電はどうやって作るかです、そのために送電網を売却することを提案します。それを買うお金は誰が出すのか。

 

  今後さまざまな発電方法によるエネルギー産業が立ち上がると思いますが、電気エネルギーに関心のある会社が集まって買い取るのです。

  東電は痛手でしょが、資産と権益の売却は失敗企業が当然するべきことでしょう。問題はその資産価値の算定ですが。

  またこのことは、次の日本のエネルギー政策に多くの可能性をもたらします。原発以外の技術に多様な選択肢が生まれ、電力流通の網が自由に使えることで多様な流通法が生まれてくるはずです。原発事故が新しい何かを生み出してくれるとしたら、少しは罪滅ぼしになるのではないでしょうか。

 

  

【安くて安全でクリーン】(6)

 

  下のグラフから、原発が生まれてから今日までの原発によって発電された総量がわかります。

下の茶色い棒グラフの部分でだいたい4兆kwH。もし10円/kwHだとすると日本中で40兆円。これは50基ぐらいある原発の全ての売上であり、それに4基の原発が生み出した損失額が近いのですから、いかに割の合わないことであったか。原発は安い電気を生み出すと言うのが大嘘であったことか。この数字からお分かりでしょう。安いと思って使っていた我々がおめでたかった。

  その損失を補償するのに、東電は随分お金がかかるであろうとと思われます。足りるかどうかは別として、会長・社長をはじめ、会社は全てを投げ打って全力で回復と補償をやるでしょう。これは責任ある企業の当然の宿命ですから。
  それでも足りないでしょう、政府の援助の前に、そのお金をどこからねん出すのでしょうか。だいぶいろいろの物件の売却話を聞きますが、有効な一つとして送電網の売却があると考えました。
  このことは今後の国のエネルギー政策の発展にすごく役立つことでもありますのでお勧めしたいです。さてこれで何兆円が生まれるかを試算していません、しかし体の半分を売るぐらいの覚悟は必要です。

  それを買うお金は誰が出すのでしょうか、そこが鍵です。税金ではだめです。外国からの投資もだめです。将来のエネルギー供給産業に、何らかの形で参入したい国内企業に出資して参加してもらうのが良いと思います。


  道路は誰でも走れると同じように、電線も技術のある人なら、誰でも使えるようにするのです。どんな方法の電気でも、例え原子力でも、もし安全への自信と、不測の事故の場合の膨大な補償への担保が出来、今回のような可能性への度胸がある会社は参入したら良いでしょう。
  ソーラも、太陽熱発電も、潮力も、海流も、地熱も、小水力も、温泉も、廃棄物の発酵も、水素も、有機ハイドレードも、マグネシュームも、電気ならなんでもこの道を走れるとするのです。購入者はその電気の内容、製造者を指定出来るとします。それで自然に値段が決まります。
  この自由度から思いもかけないエネルギー問題への解が生まれるのではないでしょうか。
  少なくとも多くの有能な方々の活躍の場が出来ます。その力を引き出すためにも多様化は発展に安全で有効です。今回の人災の国民的大被害に対する、これは唯一の謝罪であり、将来へのせめてもの貢献であろうと思います。

 

 

【汚染水の行くへ】(7)


  放射能汚染水の処理装置がもう少しで出来て、浄化された水が海に放出されるでしょう。(これを書いている今日見た新聞によると、本運転をしたら故障であると、放射能汚染水を通してからの故障は大変です、人が近寄れませんからどうやって直すのか)この「浄化」と言う意味は重要です。浄化されたということは、飲めるほどにきれいな水のことで、これは結構大変であり出来るとしたら大したものなのです。

  浄化と言う言葉はその意味で使っていると信じます。さて放射線は宇宙からも来て、人の体を通りますが、それで終わります。放射能を持った物質を体に取り込むと、それから出る放射線はそのものが無くなるまで、半減期のルールに従って出し続けます。


  汚染水は、水が放射能を持っているのではなく、水に含まれている微細な不純物の物質が放射能を持っているのですから、浄化すると言うのは、ろ過すると言うことと殆んど同じです。水は体内に入って来て永く留まりますから宇宙線のように通って終わりと言うわけには行きません。
  このろ過と言うのは、例えば海水から淡水を作る作業は日本の得意技ですから、フランスの技術には更に高度のことがあると思います、しかし私にはその内容は判りません。

  ともかくろ過すると、残るのは吸着材を含んだ放射能を持った汚泥のはずです。浄化された水を海に捨てるのなら、そこには放射能がない(殆んど純水の)はずですが、一方放射性汚泥は残ります。これを300年どこに保管するかが問題です。海に拡散させてはいけません。地下水に入れても行けません、空気中に舞うのも厳禁です。拡散したものは水俣の水銀のように、生体濃縮されて魚として帰って来ますから。
  困ったことに今は炉心でウランやプルトニュームが直接冷却水と接触している筈です、その水が外に出ている汚染水です。これを地上で上手に処理しないとあとで困ったことになります。
  うっかり地下水に入れるとそれはいつか海の底から湧き出て来ますから。

 


【事故の功罪】(8)

  これから何が起きるかわからない時に、「功」と言う言葉を含む、功罪の言葉を使うとは不愉快かも知れません。
  最大の功は、「安くて」「安全で」「クリーン」と言う嘘が全て明らかになったこと、人々が政府が言うことを「信じて詮索しないほうが自己責任がなくていいや」、と言っていられなくなったこと。

  送電網の自由化が出来ると、発電への自由度が上がり、いろんな参入が促進されるだろうこと。
  原発のリスクの大きさが、世界の白日にさらされたこと、特に脆弱さがわかったこと。
  開発途上国も原発に食指を動かしていますが、失敗の可能性が現実になるとどうなるか、それを良く分かったこと。
  更に大切なことですが。世界が目指していることは恒久平和であろうと思いますが。原発の脆弱性が天下に知られたことは、恒久平和を急がねばならない、ことが示されたことになるのです。


  原発は原爆の貯蔵庫でした。それのありかを天下に知らせている、こんな相互信頼の世界はないのではないでしょうか。一発のミサイル、数人のテロで国を滅ぼすことが出来るのですから。

  原発を持つ国は、全ての国の人から大切にされ、愛される国になっていなければならない、いつテロ攻撃を受けるかも知れない。そのような国ではないですよと示すのが原発でしょう。

  一発のミサイルで、一人のテロで、原発が完全に破壊されたらその被害は100km圏です。今回の災害の大きさを世界の知らせることほど、世界への貢献はないでしょう。

  あまり詳しく書くと問題ですが、アキレス腱が水と電気であることは良く知られました。

 

 

【事故は無くならない】(9)


  スリーマイル島は1979年3月28日、チェルノブイリは1986年4月26日、JCO臨界事故は1999年9月30日、フクシマは2011年3月11日。不思議にもほぼ10年に1度のサイクルであることに気が付きませんか。

  科学の進歩より「人間の油断」のサイクルの方が優先しているようです。人間の危機経験の記憶、マニュアルにならないDNAの記憶、ちょうど危機を体感した指導者/責任者の変わるのが10年ぐらいなのかも知れません。

  失敗をしない完全無欠の人間は居ないと同じように。絶対に事故を起こさない機械や装置はありません。機械や装置は全てを見通せない人が作り、技術はやってみておきる事故の失敗を通して、進歩すると言う宿命を担っているのかも知れません。

  飛行機を見ると良くわかります。不測の体験と、命がけの機長の体験の積み上げによって、飛行機の事故率は随分小さくなりました。しかし百万回の離着陸に1回の人命にかかわる事故の確率は、いまだに減らないで苦労しています。
  機体が大きくなるので、事故率が減っても被害者は減らないことになります。

  その飛行機に人々は万が一はあり得ると思って、それを許して乗っています。

  事故は悲惨ですが、それでもその場所で放置していても収束します。火災も、どのような事故(失敗)も、その場所の中で収束するものです。一方原発と言うものが、人間には手に負えない暴走をするものである、その暴走が無茶苦茶大きいものであることが。

  次の10年後に世界のどこかで事故が起きねば良いのだが。一番起きそうな所は〇〇〇〇。歴史があり、したがって設備が老朽化し、経験の自信があって油断している所。

 

【人間に扱えるのか】(10)

 

  飛行機事故が100万回に1回の確率であるということは。一生に一度も事故にあわない機長が100人中99人いると言うことです。しかしそれに遭遇する可能性を考えて、常に訓練を積んでいます。シュミレーター訓練もありますが、想定外の事象に遭遇した時の、落ち着いた、機敏な、臨機応変の行動の訓練が常に行われています。設計者も製造者もそれに合わせています。

 

  飛行機よりはるかに事故による被害の影響が大きい原発を扱う人がどういう取り組みをしているのか知りません。事故に遭遇する確率は、約400基の世界中の原子炉で、重大事故が過去に3回ですから。また現場は交代するでしょうから、100回以上生まれ変わって、1回事故に遭遇するぐらいです。それを起こさないように事前に対策を取り、もしそれが起きた時には的確に対処する。と言うことが100%の確率で出来るものでしょうか。

 

  原子力を扱う人は。優秀な頭脳の持ち主であり、平時は何も起きない中で悠然と過ごし、1000年に一回の現象が起きて、自分に突然その役が回って来た時に。その時に沈着に、瞬時に的確な判断と行動がとれ。その行動は自己犠牲の体を張ったものである。そういう知能と創造的行動力と勇気ある人でなければならない。
   こんな人が常時現場にいなければならないと言うことを、何十年も会社が続けて出来るものでしょうか。無事が続けば、節減と油断が起きる。

 

  どうも人間には、核反応の解明は出来ても、原子炉を安全に使うことは、原理的に出来ない生物なのではないかと思うのです。

 

 

【無理なおもちゃ】(11)20110621

 

  どうも人間には原発を扱うのは無理なのではないかと思うと書きました。自動車なら誰でもだいたい運転できて、時々事故はあるけれどその時は何とかその範囲で収束させています。

  機械工場にしても化学工場にしても、失敗しても拡大はしない。そこで放っておいても何とか収束します。原爆のようなものはもともと最後は制御できない爆発で終わる、その自滅の破壊が目的なのだからそれには向いているかも知れないですが。原爆と兄弟の原発は、失敗時の破壊が大きい性質を持っているだけに、あり得る失敗のリスクをゼロにしなければならない。それは人間に出来るのですか。と思うのです。

  人間の作った物がどうしても避けられないことは、老朽化、腐植と疲労。装置産業のこの期間は人間の活動期間より長いですから、その能力の鎖をどのようにつないでいくか。すごく難しい問題を持っています。

 

  放射能を研究し、核分裂を研究してきた、1903年ノーベル賞受賞のマリー・キュリー以下のすぐれた科学者がこの難題を知っていたかどうか。

 

  人間がこのおもちゃを安全に使いこなすには、まだ進化が足りないと思うのです。

 

 

【高濃度放射能汚染水の処理】(12)20110621

 

  期待していた処理装置が6時間でエンコしたと言う報が新聞でありました。その前に試運転で水漏れが10数か所ありそこを、パッキンを変えるとか、オーリンクを変えるとか抜本的な対処をしないで、外からパテで押さえて、初めから応急修理でごまかしていることに不安を覚えました。本気で考えて処理しようとしているのだろうかと。

  その後6時間でエンコして、毎日1200トンの高濃度放射能汚染水を処理するのだと言うのです。まさかIAEA提案に間に合わそうと見切り発車したのではないでしょうね、もしそうなら、汚れた装置の修理は大変で、大ミスです。

  海を逃げ場として考えているのなら、これは爆発と同じ罪悪です。この水処理を放射能を持った汚染水の汚水処理だと考えればだいたい想像が着きます、そしてこの装置は稼働を始めたら人が近ずけない代物なのです。

  吸着剤、ろ過材、凝集剤、フィルターの目詰まり対策、汚泥の処理。大丈夫でしょうね。

 

 

(この続きは上に積みます)